こんにちは、アキです。
タクマーレンズを分解清掃してみたのでまとめました。PENTAX67マウントでオールドレンズデビューしたのを機にM42マウントも導入しました。
今回は「Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mm F1.8」で、ねじ込み式のM42マウントのオールドレンズではお馴染みの単焦点レンズです。このレンズは非常に小さいので分解清掃はしやすい部類かと思います。
ちなみにこれは1971年のレンズ。自分よりも年上のレンズです。
レンズを分解清掃する理由
オールドレンズは中古でしか手に入らないレンズなので、購入した段階でレンズ内のチリや曇りなどが気になります。前オーナーの保存環境が悪かった場合はカビなども発生していることもあります。
なのでオールドレンズを手に入れたら、まずは分解清掃しないと気持ちよく使用できないということです。とくにカビには注意したいところで、菌が他のレンズやカメラセンサーへと繁殖してしまう可能性もありますからね。
今回「Super-Multi-Coated TAKUMAR 55mm F1.8」を中古で手に入れたわけですが、「カビ無し」表記ではあったが状態は良くないものでした。大きなチリも入り込んでいて、このままの状態で撮影に使用しようとは思えない状態。
レンズは1000円ちょっとで買えてしまいました。ほぼジャンクに近いのかもしれない。
後ろからライトを当てると分かりやすいですね。
これらのチリや曇り、又はカビを除去するにはレンズ内のレンズ群を分解して一枚一枚綺麗に清掃する必要があるのです。
分解清掃に必要なもの
レンズの分解清掃に使用する道具です。
- 無水エタノール
- 綿棒(100均)
- レンズティッシュ
- クロス(100均)
- ハクバレンズペン
- カニ目レンチ
- 吸盤オープナー
- 精密ドライバーセット(100均)
センサー清掃用に持っていた無水エタノールを使用します。無水エタノールでもカビの除去はできますが、猛者はカビキラーを使用するようです。
拭き上げるのに綿棒やレンズティッシュを使用しました。綿棒は繊維が大きいので、気にする方はシルボン紙などを用意してください。仕上げにレンズペンも使用しました。
銘板外しに必要な吸盤オープナーはお馴染みの椅子足キャップ36mmで代用します。ホムセンで80円くらいでした。
サイズが合う場合は専用の吸盤オープナーを買うよりも安く済みます。
カニ目レンチを。こちらもピンセットだとか自作工具で代用が効くようですが、これだけはしっかりしたカニ目レンチを用意することをおすすめします。
レンズの清掃だけであれば使用しないけど、精密ドライバーがあればレンズユニットごと分解ができます。精密ドライバーはダイソーで100円の物です。
レンズの分解清掃の流れ
分解前に構成図を確認すると分かりやすいかと思います。今回のレンズ構成図もググったらすぐに見つかりました。
①銘板を外す(化粧リング)
レンズ分解の最初の一歩は「銘板外し」から始まります。化粧リングとも呼ばれていました。
この銘板を外さないと前玉ユニットを取り外せないので、一番最初に吸盤オープナー等を使用して銘板を外します。
ここで登場するのが吸盤オープナーの代用で用意した椅子足キャップ。これをグッと押し付けながら回していきます。(椅子足キャップの他にも、ゴム製の指サックを装着して指で回す方法もあるようです。)
銘板やその他のネジ類も全て正ネジだということなので外す場合は反時計回りに回します。
しかし、これがなかなか回らない。
全力で抑えながら回しても銘板が固すぎてオープナーの方が先に滑ってしまう。
この作業にかれこれ3時間ほど格闘したが90°くらい動いただけ。
でも少しながら動くということは固着している訳ではない。落下などで円が変形しているのかもしれないな。
3時間後にようやく1つ工夫してみた。
オープナーの縁に両面テープを貼り付けて滑り止めを施しました。これでオープナーが先に滑ることはないだろうと。
しかしこれでも動かない。頑固な銘板はピクリともせずに両面テープが剥がれていくのです。
この日の作業はここで終了。「これもう外せないのかなー」なんて諦めムード。
その後、ググっていると同じように銘板外しに苦戦している人も少なからずいるようで色んな記事を参考にした結果、浸透潤滑剤の「クレ5-56」を銘板の隙間へ浸透させる方法を試すことに。
レンズに556をかけるなんて…
と驚きつつも、分解清掃ができなければこのレンズは使用する気がないのでダメ元で試した。
外れた(笑)
寝る前に556を吹きかけて、5時間後くらいに再挑戦したら思いのほか簡単に外れました。これには目から鱗。あの3時間はなんだったのだろうか、少し筋肉痛になったし。
クレ5-56マジ万能。
ただヌルヌルが残ったり潤滑剤がレンズに付着したりするので、外した後の始末が少し手間でした。その辺りに注意して下さい。
②前玉ユニットの分解清掃
銘板が外れたら、カニ目レンチを使用して前玉ユニットを取り外します。ツルッと手が滑るとレンズに傷を付けてしまうので、ここはゆっくり慎重に作業します。
ここでも外す時は反時計回りです。
ちなみに、このレンズよりカニ目レンチの方が高かったという。
前玉ユニットが外せました。このユニットはレンズ3枚構成なので、これを更に分解してレンズを1枚ずつ清掃することになります。
カニ目レンチを使用して前玉ユニットを分解していくのですが、ここでもレンズを抑えているリングが固くて回らないという状況に陥った。
よく見るとユニットには接着剤のような形跡が見られました。なので、レンズ抑えリングの隙間に無水エタノールを浸透させました。
少し時間を置いて再び試してみるとカニ目レンチは簡単に回った。無水エタノールで接着を溶かせるようです。
抑えリングを外す毎にレンズ1枚が取り外せ、前面・後面・中間と3枚のレンズに分解できました。
これを無水エタノールや綿棒等を使用して綺麗にしていきます。
清掃が終わったら逆の手順で元に戻して前玉ユニットは終了。再びチリが入らないようにブロワーで吹きながら行います。
③後玉群の分解清掃
次に後玉ユニットを同じように分解清掃していきます。
マウント側から取り外せるのでカニ目レンチで外します。前玉のように銘板がないのが有り難い。
で、後玉ユニットも接着されていて固いため無水エタノールを浸透させて少し放置しました。待っている間に絞り羽根ユニットまで取り外してみました。
絞り羽根ユニットは全部で3箇所に2つずつビスで固定されているので、マイナスの精密ドライバーで取り外していきます。
- 赤枠ビスはレンズユニットを固定。(ワッシャー付)
- 青枠ビスはフィルター枠を固定。
ビスは全部で6本ありますが青枠と赤枠のビスで役割が違います。赤枠ビスはワッシャー付なので区別はつきます。(参考サイトはこちら)
ビスが小さいため精密ドライバーは磁気を持たせた方が作業しやすいです。
ダイソーで売っていたドライバー着磁気を使用。
フィルター枠とレンズユニットを取り外しました。見えている汚れを拭き取ります。
元に戻せなくなる自信があるので分解はここまでにしました。レンズ清掃だけであれば前玉と後玉だけ取り外すだけで完結しますけどね。
そんなこんなして時間が経過したので後玉ユニットを分解。
どうも前面のレンズ抑えリングが外れなく、カニ目レンチでも少しナメってしまったくらいに固かったので断念。あんまり力んでもレンズを傷つけてしまいそうで。
ただ取り外さなくても見えている面は清掃できます。
このユニットも3枚構成だと思うんだけど、それほど目立つチリは入り込んでいないので問題はないかなと。
元通りに組み立てて終了
全ての部品の清掃が終われば組み立てて終了。
目立っていた大きなチリも無くなってスッキリしました。
1番前面の前玉には磨いても取れなかった点があったけど傷か何かかな。
まあ格安のオールドレンズだからしょんないか。
ライトを当ててみると、チリは無くなったけど何か粉っぽい感じが。
恐らく仕上げに使ったハクバレンズペンのカーボン粉末だと思う。レンズペンってこんなに粉末が付着するのか。これが撮影時に影響が出るかどうか…
逆光時の撮影は少し不安が残りますが、まあこれで良しとします。納得いかなければ再び清掃すればいいし。
まとめ:蘇るジャンクレンズ
とりあえずぱっと見でも目立っていたチリが綺麗に消えました。
「カビ無し」という状態で購入したものでしたが、無水エタノールを使用して清掃したので万が一カビが発生していたとしても除去できていると思います。念のために、メインで使用しているカメラレンズとは別のボックスで保管します。
部屋の中で試し撮りはしましたが、やはり富士山写真で試写したいところです。そのうちこのタクマーレンズで撮影してきます。一応、6枚羽根絞りレンズなので6本光芒を生かしてダイヤモンド富士や夜景を撮影してみたいですね。
以上が、状態が良いとは言えないオールドレンズを分解清掃してみたという記録でした。