ピンホールレンズを自作してフルサイズ一眼レフD810で撮影してみた結果

自作ピンホールレンズ

こんにちは、アキです。

ピンホールカメラをご存知でしょうか。

レンズを使用せずに小さな針穴(ピンホール)を利用したカメラです。小学生の頃に作った記憶がある方も多いかと思います。

そのピンホールレンズを自作して手持ちのフルサイズ一眼レフ(Nikon D810)で撮影するという回です。

最近『ピンホールレンズ』というワードを連続して耳にしたことで興味が沸いたのがきっかけ。

登録していたYouTubeチャンネルで作っていたり、海外メーカーが各マウント用のピンホールレンズを商品化するというクラウドファウンディングを見かけたりと。

プロ仕様のピンホールカメラレンズ「Pinhole Pro S」 – machi-ya(マチヤ)

安価で自作できることを思うと高いような気もする。

ピンホールレンズ自作方法

必要なもの
  • Fマウントボディキャップ(Amazonで234円)
  • アルミホイル(家にあるやつ)
  • セロテープ(家にあるやつ)
  • 縫い針(100円ショップ)
  • ドリル的なもの(家にあるやつ)

費用は334円でした。だいたい家にあるもので自作できます。各マウントのボディキャップはAmazonで安く買えるが、ニコンFマウントのボディキャップは「あわせ買い対象商品」だったので注意です。

手順はピンホールレンズの土台となるボディキャップに穴を開けてピンホールレンズにするだけ。ボディキャップなので付け外しのできる交換式ピンホールレンズとなる。

自作ピンホールレンズ

ドリル的な道具を使用してボディキャップの中心に穴を開けます。

ボディキャップは新品を購入しますが、正直に新品に穴を開けるのは勿体無いので古い方を使用することをおすすめします。

自作ピンホールレンズ

そこそこ厚みがあるので電動だと楽です。

穴の周辺に残ったバリなどが写真に悪さをするかもしれないので、開けた穴は紙やすり(1000番)で綺麗に整えました。(やってもやらなくても、どっちでもいいかもしれない)

自作ピンホールレンズ

ボディキャップ内側に収まるサイズにカットしたアルミホイルを用意します。

調べるとアルミ缶を使用しているケースも見かけますが僕はアルミホイルを使用した。アルミ缶の方が丈夫ですね。

自作ピンホールレンズ

縫い針など細いものでアルミホイル中心に穴を開けます。

穴を開けたボディキャップはあくまで土台であり、こっちの針穴がピンホールです。

自作ピンホールレンズ

ピンホール径は3mm以下にするため、縫い針の先端をちょこんと刺す程度。

絞り羽がないのでF値は調整できません。

風景写真の場合は無限遠になりますが、このピンホール径サイズである程度の絞り調整ができると思います。通常のレンズでは絞り込むことでシャープになるので、ピンホールも小さいほどシャープになり大きいほどボケる。

焦点距離(画角)は「ピンホール径」と「センサーからピンホールまでの距離」によって決まるそうです。(公式がWikipediaに記載

正直、わけがわからない。

調べてみるとピンホール径0.3mmでだいたい焦点距離は60〜70mmくらいで、風景写真のために画角を広げるにはもっと小さくする必要があることはわかった。(実際に撮影してみるとほぼ50mmでした。)

ただ、1mm以下の穴のサイズ調整をする術を持ち合わせていないので「だいたい」で作業するしかないよね。「縫い針の先端でちょこん」くらいの感覚でいいかと。

自作ピンホールレンズ

乱反射を防ぐためにアルミホイル内側を黒く塗りつぶす。

自作ピンホールレンズ

ピンホールの開いたアルミホイルをボディキャップに貼り付ける。

貼り付けるのがボディキャップの内側か外側かでも少し焦点距離に違いが出ると思いますが、見栄えを考慮して内側に貼り付けた。

自作ピンホールレンズ

自作ピンホールレンズの完成。

反対側からライトを当ててみるとピンホールが開いているのが確認できる。この小さな穴だけで写真が撮影できると思うと不思議な気持ちになる。

自作ピンホールレンズ

フルサイズ一眼レフのNikon D810に装着すると最高に薄いパンケーキレンズとなる。

これでトイカメラ風のノスタルジック感のある写真が撮れるのかどうか。

電子接点のないオールドレンズを装着したときと同じように『F0』です。基本的にはISO感度とシャッタースピードだけで露出を調整をします。

では試し撮影にれっつごー。

ピンホールレンズ+D810で撮影してみた

自作ピンホールレンズ

まずはお得意の田貫湖にやってきた。

夜明け撮影です。

ちなみにファインダーもライブビューも真っ暗で何も見えないので、何回も撮りながら構図を調整する必要があって面倒くさいです。しかし何度でも撮影できるデジタルカメラだからできること。

自作ピンホールレンズ

ISO100 30秒

朝焼けと富士山をピンホールレンズで撮影。ボケボケの写真ではあるが、小さな針穴だけで撮影された写真だと思えばこれだけ映れば十分すごいものだ。

自作ピンホールレンズで富士山撮影

ISO100 30秒

この画角は50mmである。撮り慣れた景色だから簡単に比較ができて助かるな。焦点距離の計算式とか全然わからない。

自作ピンホールレンズ

ISO3200 1/20秒

太陽の撮影なのでシャッタスピードを短くするためにISO感度を上げた。

絞り羽が無いのにいっちょ前に光芒らしきものは発生しました。アルミホイルに開けたピンホールのバリが影響していそうだ。

自作ピンホールレンズ

太陽が出たところでライブビューにも映るようになりました。日中に日差しの当たる景色ならライブビューで確認しながら構図決めができます。

絞り優先モードでも撮影可能でした。

自作ピンホールレンズ

ISO200 10秒

太陽が出ていてもISO200まで落とすとシャッタスピードは10秒ほど要するため三脚必須ですね。

もっと強く周辺光量落ちの目立つものだと思っていたので、意外と普通に撮れていてびっくり。

自作ピンホールレンズ

ISO200 1.6秒

この空のボヤけ具合が好きです。トイカメラ風なノスタルジック感が表現できるが「だったら始めからトイカメラでいいじゃん」と思ってしまう。

ピンホールが紀元前から知られている投影技術であると思うとノスタルジック過ぎるな。

自作ピンホールレンズ

ISO3200 1/8秒

場所を変えて田園風景越しの新幹線を撮影。富士山は見えませでした。

ISO感度をぐんと上げないと新幹線を鮮明に捉えることはできない。最近のノイズに強いカメラならもっとISO感度上げてもノイズを抑えつつ撮影できると思います。

自作ピンホールレンズ

このピンホールカメラはモノクロにすることで一段と味が出る。

『味』を考慮するとノイズも良いアクセントになるので、やはりISO感度はがんがん上げて撮影しておけばよかったなと今になって思っています。普段のノイズを気にする癖が出てしまった。

自作ピンホールレンズ

東海道五十三次でお馴染みの薩埵峠で撮影もやはり富士山は見えない。

強制的に日中スローシャッターとなるので自動車は映りません。高濃度NDフィルター要らずでした。

撮影に出かけようにも富士山の見えない日ばかりだったので撮りたい絵がまったく撮影できず。もし作例が増えるようならぼちぼち追加していきます。

まとめ

少し試し撮りした感じだとピンホールはボケ過ぎて微妙だった。フルサイズ一眼と三脚を持ち出してまで撮るような描写ではないと思う。

トイカメラ風のそこそこのチープ感を求めるのなら『写ルンです』でいいかなって。

デジタルカメラでピンホール撮影することで露出設定が自在だし何回でも撮り直しができるので、写真の上手な人はピンホールレンズを活かした良い写真が撮れると思います。

面白そうだと思った方はぜひ試してみてはどうでしょうか。

写ルンですで富士山撮影