こんにちは、アキです。
ケンコー・トキナー様より2019年11月22日発売の「トゥインクル・スター」という新しいクロスフィルターを提供していただきました。
新しい表現ができるようになった新型クロスフィルターということで違いを確かめてみました。もちろん富士山写真にもトゥインクル・スターを取り入れてみたので紹介します。
従来のクロスフィルターについて
従来のクロスフィルター「クロススクリーン」を簡単に説明しておくと、“光源からクロス状の光条を発生させるレンズフィルター”のことです。フィルターのガラス表面に刻まれた格子状のミゾに沿って光が広がるという仕組みです。光源の多いイルミネーションなどを、よりキラキラに表現したい場合などに用いられています。
当ブログでは「クロススクリーン」も紹介しているので興味ある方はどうぞ。
トゥインクル・スターの特徴
今回、新型クロスフィルターとして登場したのが「トゥインクル・スター」という、その名の通り“星のようなキラキラ感”を表現できるクロスフィルターです。
光条が短くなってイイ感じに!
さっそくイルミネーション撮影をしてみると、僕の知っているクロスフィルターとは全然違う効果だとひと目で分かりました。従来のクロスフィルターと違う大きな特徴は2つ。
- 光条の線が短くなり星っぽいキラキラ感が出る
- 弱いソフトフィルター効果で幻想的になる
一つ一つの光源が可愛らしいキラキラ感になっている。これは光条の線が短いためです。従来品の「光条の線が長くなりすぎる問題」が改善されています。クロスの中心部の発光を強調させ、ただのクロスよりも星っぽい形に寄せているのが分かります。
そして軽いソフトフィルター効果も加わえて全体的にふわっとした雰囲気になる。
可愛らしさの増したキラキラ感を表現できます。
ちなみに従来のクロスフィルターでは、光源によっては光条の線がたしかに長いと感じる。キラキラというよりはギラギラしてしまう。ギラッギラな雰囲気もこれはこれでアリですが、ふんわりしたキラキラ感は出せません。
よく見ると白い光源から出ている光条が虹色になっていますが、これもまたアクセントになるので被写体やシチュエーションで使い分けたいところです。
玉ボケの模様がイイ感じ
F1.4〜F2.8などの明るめのレンズで絞り開放にしたり、被写体と背景の焦点距離を工夫することで、キラキラ光条の背景に玉ボケを共演させることも可能です。使い方次第ではすべての光源がクロスになるわけではありません。
このときの玉ボケに少し特徴があります。
よく見ると玉ボケに網目のパターン模様がつきます。これはクロスフィルターを装着することによる影響ですが、フィルターのガラス表面にある格子状のミゾがパターン模様として写り込んでいるものです。
これを逆に、玉ボケのアクセントとして表現に取り入れても面白いと思います。
絞りによる表現の変化
絞り値による光条の変化なども確認してみました。開放F1.4からF22まで絞っての比較ですが、変化を感じた4枚の抜粋です。(使用レンズは35mm F1.4 絞り優先モード)
F値を絞っていくと変化するのはピント。開放(F1.4)だと一部にしかピントが合わず背景が玉ボケになりますが、絞っていくとピントの合う範囲が増えて玉ボケがキラキラ光条へ変化していく。F5.6ではすでに背景までキラキラしている。
どちらでもイイ感じのキラキラ感だけど、トゥインクル・スターのコンセプトを考慮すると開放でボカしてふんわり感を強調する方が合っていると思います。
開放ではキレイな4本光条です。もちろん従来のクロスフィルターと同様に、フィルターがくるくる回転するので光条の角度は自在に変えられます。僕は30度くらい右に傾けるのが好みです。
F22まで絞り込んだところ光条は8本ありました。「トゥインクル・スターは絞り込むと8本光条になるのか?」と一瞬思ったけど、使用レンズが8枚絞り羽根だったのでレンズが出した光条と重なっていただけでした。あまり絞るとレンズの光条がトゥインクル・スターの邪魔になることもあるので注意。
しかしレンズだけで出す8本光条とはまた雰囲気が違う。レンズの出す光条に角度を合わせ、トゥインクル・スターの4本光条を重ねるのも非常に面白い。こんな使い方もアリだと思います。
F1.4とF22の2枚を無駄にGIFにしてみました。参考までにどうぞ。
富士山写真に取り入れてみた
ここまでイルミネーション撮影でしたが僕のメイン被写体は富士山なので、どうにかして富士山写真へトゥインクル・スターを取り入れてみました。
日没後の夜景越しの富士山を撮影したところ、光条の線が短くてレンズの出す光条に近い感覚で使用できました。角度が自在なので表現の幅が広がります。
日没直後のまだ少し明るい時間帯がベスト。これ以上暗くなってからの夜景でクロスフィルターを使用してしまうと、ちょっとキラキラしすぎて“うるさい”です。薄明の絶妙なタイミングに使用すると良いアクセントになると思います。
問題点として、富士山がボンヤリしてしまうので注意。
トゥインクル・スターの特徴である「軽いソフトフィルター効果」が邪魔をしてしまいました。夜景とは言えあくまでも風景写真なので、ソフトフィルターのいらない部分も出てきますよね。全体的にふわっとするので風景写真での使用にはクセがあります。
海辺からの富士山ですが、こちらも日没後の薄明で撮影。やはりソフトフィルター効果で富士山がぼんやりしてしまう点を除けば、シチュエーションとしてはお気に入りの一枚になりました。
富士山や海には光が入らず“静かすぎる景色”でしたが、遠くにある夜景をトゥインクル・スター効果でアクセントにしました。夜景の面積が少ないのがポイント。あまり夜景が多いとやはりキラキラ感のうるさい写真になるので、ほどほどの面積でいい。
おまけ撮影
空を見上げると満月があったので撮影。光量が強いとくっきりとした光条が出ますが、光源のゴーストが発生してしまいます。クロスフィルターに限らずレンズフィルター全般での問題です。
海辺で見つけた灯台を撮影。夜景やイルミネーションもいいけど、ワンポイント的なキラリも悪くありません。
ハロウィン満月(追記)
2020年10月31日に撮影した富士山と満月。
ハロウィン(10月31日)が満月になるのが46年ぶりだということで、ハロウィンナイトらしさを演出したパール富士にするためにトゥインクル・スターを使用しました。
まさにイメージ通りである“パリピ感”を表現できたと思います。
まとめ
トゥインクル・スターによるキラキラ感はかなりイイ感じに仕上がっていて、イルミネーションなどをより幻想的に表現するには最適だと思います。とくにクロススクリーンの上位互換というわけではないです。どちらにも長所短所があるので被写体やシチュエーションで使い分けたい。
富士山写真でも「これは使えない」と切り捨てるのではなく「どうすれば活かせるか」と前向きに考えるようにしたい。タイミングが合えばダイヤモンド富士の撮影で試します。
新型クロスフィルター「トゥインクル・スター」の紹介でした。
「Twinkle Star(トゥインクル・スター)」特集ページ – ケンコー・トキナー