こんにちは、アキです。
ケンコー・トキナー様より「ハーフプロソフトン(A) 100×125mm」をお借りしたので、さっそく登山に持ち出したり富士山撮影で使用してみたのでレビューや感想をまとめました。
「ハーフプロソフトン(A)」とは?
「ハーフプロソフトン(A)」はフィルターの半分だけにソフト効果のある角型フィルターです。
星空にだけソフト効果をかけて、風景部分はソフト効果をかけずにシャープに描写させたい場面で使用します。風景撮影でお馴染みのハーフNDのソフトフィルターバージョンになります。
これは星空と風景がセットの星景撮影で活躍します。
今回お借りしたのは「100×125mm」ですが、前玉の飛び出した超広角レンズに対応する大きめサイズの「130×170mm」も取り扱いしているので使用レンズに合わせて選択してください。角型フィルターなのでサイズ対応するフィルターホルダーも必要なので注意です。
実際に撮影に使用してみた
さっそくハーフプロソフトン(A)を登山や富士山撮影に持ち出しました。
※ホワイトバランスを揃えた以外には無加工です。
イルカ岩と天の川
まずは北アルプス「燕岳」の頂上近くにあるイルカ岩と天の川の撮影です。
宿泊登山をする必要のある場面だと、角型フィルターはホルダー類など荷物が増えてしまうのが難点なので登山で使用するのは躊躇していましたが、今回は小屋泊で荷物が少なかったので気にせずに持ち出せました。
- Nikon D810
- TAMRON 17-35mm F/2.8-4 Di OSD
- GITZO GT2545T
- Velbon QHD-G6AS
まずはフィルター無しの1枚です。
撮影条件がよく見えるようにライトで照らしていますが、星空をバックにしてイルカそっくりな岩を前景に入れるというシチュエーションです。ここでハーフプロソフトン(A)の出番ですね。
ハーフプロソフトン(A)を使用した1枚。
イルカ岩をシャープに描写、星はにじませて粒が大きくなりました。イルカ岩はシルエットだけでも悪くはないですが、僕は岩の質感まで表現したかったのでイルカの顔付近だけライトアップしています。
ハーフプロソフトン(A)を使用すれば星はにじんで粒が大きく見えます。
Kenkoのソフトフィルターは“強めの光源だけ”にソフト効果がかかり、すべての粒が大きくなるわけじゃないので、うるさくならずにバランスのいい写真になると感じます。
ソフト効果ありのイルカの顔を拡大トリミング。
ソフト効果のかかっている状態だと前景のイルカ岩までふんわりとボヤケてしまいます。これはこれで悪くはないですが、やはり主題はくっきりと描写させたい人もいるだろう。
ソフト効果なしのイルカの顔。
ハーフプロソフトン(A)で星空にソフト効果をかけつつも岩がシャープに描写されます。
見比べやすいようにGIFにしました。
正直なところ『どちらでもいい』と思ってしまいました。
主題や前景がシャープであることに越したことはないけど、ソフト効果でふわっとしていたら“それはそれでいい”と思えてしまいます。
ソフトフィルター有無の複数パターンで撮影しておいてから好みをセレクトするといいかもしれない。Kenkoのソフトフィルターは素敵な演出効果なので、あとから撮影データを見返していると改めて考えさせられてしまう。好みが覆る可能性も無きにしもあらず。
「イルカと星空」ってよくよく考えるとラッセン的なファンタジー感が合うと思うので、全体的にソフト効果をかけてしまってもイイ感じなんですよね。人それぞれの表現したいイメージや、シチュエーションによって“好み”で使い分けてください。
表現に正解なんてありません。
ハーフプロソフトンの宣伝に元も子もないこと言ってるけど気にしない。
富士山とオリオン
次は富士宮市「ふもとっぱらキャンプ場」での富士山撮影です。
キャンプに遊びに来たらたまたま富士山の真上にオリオンが登り始めていたので、ハーフプロソフトン(A)のレビュー用に撮影を始めました。
- Nikon D810
- TAMRON 35-150mm F/2.8-4 Di VC OSD
- Leofoto LS-323C
- Velbon QHD-G7AS
まずはフィルター無しでの1枚。
富士山はシャープに描写できるけど星の粒が小さくて寂しい。星空の割合が多い構図なので尚更目立ってしまう。とくにオリオンを強調させたいのでソフトフィルターは必要不可欠だと感じるシチュエーションです。
ハーフプロソフトン(A)を使用した1枚。
これがビックリするほどオリオンだけをピンポイントで強調させていてイイ感じです。そういう検出機能でもあるのかって思うくらい。
見比べやすいようにGIFにしました。
今回のシチュエーションでの注意点が1つありました。
時間が経過すると、富士山と同じ高さにオリオンの一部が現れましたが、この部分はソフト効果のかかっていないエリアなので粒は小さいままでオリオンのバランスがおかしくなってしまう。オリオンを優先してソフト効果のエリアを下げてしまうと富士山がボヤケてしまうという状況です。
目的の星が風景と同じ高さにあるとバランスをとるのが難しい。
オリオンがもう少し上がるまで待つことで解決しました。
今回は星は登ってくる状況だったので問題なかったけど、オリオンが沈んでいく状況だと取り返しがつかないので注意ですね。星の位置や移動する方向はちゃんと計算して撮影に挑みたいところ。奥が深いなぁ。
※ちなみに“オリオン座”はこれが全貌じゃないのは勉強済みなのでツッコミは無しでお願いします。
使用したフィルターホルダー
角型フィルターは専用のホルダーが無いとレンズに固定できません。
今回は100mm幅の角型フィルターなので、100mmに対応したホルダーならメーカー問わずに装着できると思いますが、保証があるわけではないので可能な限りメーカーは揃えたい。
僕はLEE製の「LEE100 ホルダー」を使用しています。
ハーフプロソフトン(A)と同じケンコー・トキナーで取り扱っている製品なので使えないことはありません。専用のステップアップリングを用意すれば各サイズのレンズに対応できます。
撮影に使用した感想
今回少し使用しただけでもその有用性を充分に理解しました。星景写真を撮影するのであれば、ハーフプロソフトン(A)はほぼ必須じゃないでしょうか。
もちろんハーフプロソフトン(A)だけが正解というわけでもない。全体的にソフト効果をかけたほうが“イイ感じ”なシチュエーションもあるし、ソフト効果で星がうるさすぎた場合はフィルター無しの方がいいかもしれないし。
荷物量がシビアになるテント泊登山のような場面では、かさ張ってしまう角型フィルター類は置いていきたいこともあるので、かさ張らない「プロソフトンクリア」を代替品とするのも一つの手段だと思います。
シチュエーションや好み、撮影状況によって使い分けよう。