中央アルプスでお手軽テント泊!木曽駒ヶ岳、中岳、宝剣岳を登山してきました【前編】

こんにちは、アキです。

久しぶりのテント泊登山をするため、長野県駒ヶ根市は中央アルプス「木曽駒ヶ岳」へ足を運びました。木曽駒ヶ岳は標高2,612mまでバスとロープウェイで気軽に行けるお手軽な高山です。

テント泊どころか登山そのものが久しぶりで、同行者に関しては初テント泊だったので「標高の高いお手軽なテント場」である木曽駒ヶ岳は好条件だ。日帰りでもサクッと楽しめるようなコース内容なので安心感があります。

中央アルプス・木曽駒ヶ岳コース内容

YAMAPの記録では標高差は約650mという登山量なので、初テント泊だとしても荷物を多少は無理できるというメリットがある。登山は標高2,612mにある「千畳敷駅」からのスタートになるので、そこまではバスとロープウェイを乗り継ぎます。

  1. 菅の台バスセンターへマイカー駐車(チケット購入)
  2. しらび平駅までバス移動(約30分)
  3. しらび平駅〜千畳敷駅までロープウェイ(約15分)
  • 菅の台BC駐車料金:1日800円
  • バス+ロープウェイ往復券:4,200円

駐車料金は24時間800円だけど、今回は24時間を超えていた。1,000円超えていたような気がするし、800円だったような気もする。(よく覚えていないです)

往復チケットはバスとロープウェイがセットになっているので一回購入するだけで済む。登山中に失くさないように注意。(不安な場合は、乗車するたびに片道チケットを購入すればいい)

 

標高2,600mまでバスとロープウェイで行ける!

木曽駒ヶ岳「頂上山荘」のテント場は予約制ではなく先着順。設営数は約70張ほどで余裕はあるけど、シーズン最中で混み具合が予測不能で不安だ。なるべく早めに到着してテントスペースを確保したいところなので、始発バスに乗車するために駒ヶ根市内の宿に前乗りした。

登山としては1泊2日だけど実際は2泊3日の遠征でした。仕事が昼前に終わりそのまま移動開始し、静岡から中部横断自動車道→中央自動車道と乗り継いできた。1日目はドライブだ。

菅の台BC

5時ちょい過ぎには300台収容の菅の台バスセンター駐車場に到着。まだガラガラでチケット売り場に並んでいる人もいなかった。

チケット販売の6時45分まで車内で待機。宿でもう少しのんびりしていてもよかったけど、チケット売り場の混雑具合が未知だったので早めに来ておいた。週末は3時から行列ができるという情報もあったが、平日なので混み合うこともなく6時過ぎくらいに並び始めていた。

往復チケットを購入したら今度はバス乗り場へと並ぶ。

中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイ

 

しらび平駅

テント泊なので荷物が大きいわけだが、通路にザックを置けばとくに困らない。しかしギリギリ最後にバスに乗り込んだことで最後部の座席(ベンチシート)に座ることになり、通路に荷物を置けない状況になった。(真ん中の座席にも他ハイカーが座っているため)

狭い座席の中で21kgのザックを膝の上に乗せての30分のバス移動。前も見えないので少し酔いつつもロープウェイ乗り場の「しらび平駅」へと到着。

ここから約15分で一気に標高1,000mを上がっていく。

 

「千畳敷駅」へ到着。

ロープウェイの中からの景色も楽しめるけど少し酔い気味で余裕がなかった。休憩を挟んでから登山スタート。登山ボリュームは少ないので計画には余裕がある。のんびり行きましょう。

今回のザック(右)は21kgでした。20kg切れると思っていたけどおかしいな。

 

千畳敷カール

千畳敷駅から外へ出ると「千畳敷カール」の絶景が広がる。めちゃくちゃ綺麗。天候にも恵まれて二人してテンションが上がった。これを目にすれば車酔いも回復してしまう。

僕はカールという場所が初めてだ。カールとは氷河期の氷で侵食されて形成されたお椀型の地形のことで、ここは1000畳ほどの広さがあることから「千畳敷カール」と呼ばれているそう。

 

千畳敷駅からの富士山

登ってきたロープウェイ側の景色は、霞が雲海のように広がっている。

麓には駒ヶ根市の町が薄っすらと見えているが、あそこからバスとロープウェイだけで標高2,600mまで上がってきたのだ。まさに文明の利器。登山をしなくても千畳敷カールまで訪れる価値はあると思う。

 

千畳敷駅からの富士山

ズームすると富士山を確認できる。南アルプス越しにチラッとこちらを覗き込んでいる姿が愛くるしいではないか。大丈夫、富士山のことは忘れていないよ。

 

千畳敷カールを登ろう

登山スタート。

千畳敷駅から稜線(乗越浄土)までのCT目安は60分程度なのであっという間だろう。駅周辺には散策できる遊歩道もあるので、登山をしなくてもそれなりに自然を満喫できる。

千畳敷カール

出発前に「信州 駒ヶ岳神社」で登山の安全祈願をしていくハイカーを多く見かけた。

 

千畳敷カール

登っていきます。青空のよく合う絶景だ。

 

千畳敷カール

途中で振り返ると千畳敷駅が小さく見える。緑に囲まれた赤い建物がポツンと佇む姿も可愛らしい。駅でもありホテル千畳敷という宿でもあります。

ちなみに標高2,612mに位置する千畳敷駅は「日本一高い所にある駅」で、ホテル千畳敷は「日本一高い所にあるホテル」なんだそう。前日からホテル千畳敷に宿泊しておけば朝一にスタートダッシュを決められますね。

 

乗越浄土

CT目安60分のところ45分で「乗越浄土」へ到着。普段の登山だったらウォーミングアップが完了してこれから本番というようなタイミングだろう。

奥に見えているピークは中岳。

 

宝剣岳・中岳・木曽駒ヶ岳が近い!

乗越浄土まで来てしまったら今回の登山はもうゴールも同然。ここからは宝剣岳・中岳・木曽駒ヶ岳の距離が近いので好きに散策ができる。

宝剣山荘

乗越浄土を過ぎてすぐに宝剣山荘がある。

僕らはまずテント装備をデポしたいので、ここはスルーしてテント場のある「頂上山荘」を目指します。身軽になってからここまで戻ってくるという計画。距離が近いのでいくらでも往復できる。

 

中岳方面へと向かいます。

中岳頂上を通るコースと、頂上を通らない巻道コースの2コースに分岐している。タイム短縮を狙う方や、体力に余裕のない方は巻道コースを通る感じかな。僕らはとりあえず頂上を通るコースへ。

 

宝剣岳と宝剣山荘

途中で振り返った景色です。赤い小屋が天狗荘、青い小屋が宝剣山荘、奥の尖ったピークが宝剣岳となっている。またあとで登りに戻ってきます。

 

宝剣岳

宝剣岳のピークを望遠ズームで覗いてみると、ちょうど頂上の岩に登ろうとしている女性の姿が見えた。観察していると女性はなかなか登れない様子。頂上の岩は「登るのは怖くて無理」という情報もあれば小学生でも登っている写真があったりする。よくわからない。

宝剣岳は滑落事故が多いとされているので、難易度が未知数でドキドキしていた。(安全に写真を撮るのが好きなだけでスリル感はあんまり求めていない)こんなお手軽な山域にあるのだから、ちょっとしたアスレチック的な山なんだろうけど、滑落事故が多いと言われると怖くなる。

 

三ノ沢岳

宝剣岳の奥には三ノ沢岳まで見渡せる。あっちまで縦走することも可能だが行かない。

 

富士山と乗越浄土

乗越浄土まで登ってきたハイカー達が一息ついている姿を、南アルプス越しに富士山が見守る。

 

あの稜線のゴツゴツしたところが和合山。その先へ進むと伊那前岳(標高2883.6m)へと辿り着くコースになっている。今となって言えることだけど、伊那前岳まで40分程度なので行ってもよかったな。次に訪れたらもっと散策してみたい。

 

中岳

中岳山頂(標高2,925m)へ到着。本当にあっという間です。

 

木曽駒ヶ岳

中岳を通過すると木曽駒ヶ岳方面が見えるようになる。頂上山荘とテント場が確認できてテンションがさらに上ります。先着70張というテント場もガラガラで一安心。シーズン真っ只中とはいえ平日の始発スタートでは余裕だったようだ。

テント場まで下っていきます。

 

頂上山荘のテント場(標高2,870m)

木曽駒ヶ岳「頂上山荘」へ到着。途中でのんびり撮影しながら歩いたにも関わらず、千畳敷駅から90分です。これだけお手軽なので「はじめてのテント泊」に丁度いいのは確かだ。

木曽駒ヶ岳頂上山荘

頂上山荘で受付を済ませます。テント設営料金一人1,000円でトイレや水場の使用料も含まれています。別途料金がかかるけど、山小屋での夕食・朝食も可能だそうです(要予約)

頂上山荘 | 中央アルプス宝剣山荘

 

頂上山荘テント場

岩がゴツゴツしているように見えるけど、テントを張りやすいように部分的に整地されている。ちょうど1張ごとにスペースが空いているおかげで隣のテントと距離をあけることができる。

 

トイレや山小屋へのアクセスを考慮した場所にテント設営が完了。相変わらず「モンベル ステラリッジテント1型」です。重量を最小限に抑えて一人で宿泊するなら1型で十分だ。ちなみに3年ぶりのテント泊登山だが、キャンプでテントを使用しているのですんなり設営できた。

 

宝剣岳でアスレチック感を楽しもう

テント設営が完了したら荷物をデポして宝剣岳へと遊びに行きます。

カリマーアタックザック

こういう時に便利なアタックザック。相方が誕プレにくれたカリマーのやつ。

宝剣岳の難易度が不明で、岩場とか鎖場とか身軽な方が安全だと思って一眼レフカメラは置いていくことにした。(持っていけばよかったよ…)

 

宝剣山荘

再び宝剣山荘まで戻ってアタック前の腹ごしらえ。2品ずつ注文する客なんて僕らだけではないだろうか。お腹が空いていたのでしょんないです。

僕は、わかめそば&もつ煮。

相方は、カレーライス&おでん。

もつ煮が美味しくてビールと白米が欲しくなるの。これから鎖場なので我慢や…

 

宝剣山荘のヘルメット

今回のコース内で唯一、宝剣岳はヘルメット推奨エリア。

宝剣山荘でヘルメットをレンタル(800円)できることはリサーチ済みだったけど「レンタル」とでかでかと書いてあるのがダサいのでマイヘルメットを購入した。

しかし、出発までに届かなかったので結局レンタルすることに。

欲しかったヘルメットが静岡の好日山荘になくて、急いでAmazonでポチったが出発までに間に合わなかったんです。帰宅したら無事に届いていたけど。(早くどこかの山でマイヘルメット使いたいなぁ)

 

宝剣岳

これから登ろうというときにガスってきた。とくに雷雲や雨雲という心配はなかったので進みます。視界が悪い上に強風だったら中止も考えていたがその必要はなさそうだ。

 

宝剣岳

滑落事故が多いというのは冬季の話らしい。

 

宝剣岳

さっそく鎖場が待ち構えているがそこそこスリルを感じる。この様子を見て「ハードルが高い」と言って引き返していくハイカーもいた。僕は普段から11尺くらいまでの脚立をスラスラ上り下りしているのでこれくらいなら行けそうだと判断。

 

思っていたよりもウェーイとする余裕があります。

 

一番の玉ヒュンスポットで足元を撮影。スリル感が伝わるかな。これは確かに落ちたら死ぬけど、鎖をしっかり握って足元を見ながら一歩一歩慎重に進めば問題はない。むしろ下さえ見なければよくある岩場っていうレベル。

 

宝剣岳

宝剣岳頂上へ到着。

みんなやってるしあの岩の上に立ちたい…。

 

宝剣岳

てやっ!

写真では伝わりにくいけどスリルある。

しかし宝剣山荘から20分くらいなので、ピストンしても30分程度で帰還できる。スリル感までもお手軽に味わえるということだ。もちろん気を抜けばちゃんと死んでしまうような場所なので注意してください。天候状況によっては引き返したり中止する判断も必要。

 

中央アルプスに放たれた19羽の雷鳥たち

ヘルメット返却後、テントへ帰る際の出来事。

中岳の巻道コースを進もうとすると前方で数人のハイカー達がカメラを構えている。珍しい花でも撮っているのだろうなと思って近づくと…

 

中央アルプスの雷鳥 中央アルプスの雷鳥

雷鳥に遭遇!初めて見た!

雷鳥の方から登山道の方に近づいて来たけど、ロープの向こう側で人間との距離感をちゃんと保っていた。この距離になると鳴き声がはっきりと聞こえる。「クゥーン、クゥーン」と犬のような鳴き声で可愛かった。

一眼レフカメラ持ってくればよかった…。

 

中央アルプスの雷鳥
中央アルプスの雷鳥について
中央アルプスの雷鳥は半世紀前に絶滅したとされています。2年前に北アルプスから飛来してきたとされる雷鳥1羽を発見したことをキッカケに「繁殖個体群復活作戦」が始まったそうな。6月には5羽のヒナが孵化したがサルと接触した影響で全滅してしまった。サルは雷鳥を食べるという事実もある。

そして8月1日、北アルプス乗鞍岳から遥々ヘリコプターで新たに3家族19羽の雷鳥が中央アルプス木曽駒ヶ岳へとやってきた。

6〜7羽くらいでまとまって行動していた。

遭遇したのは放鳥されたばかりの1家族だろう。まだ数が少ないだけに遭遇できたことはラッキーだと思う。この子達には頑張って生き抜いてもらいたい。サルと上手く住み分けられないものだろうか。

一気に雷鳥の虜になった。足がモフモフで全体的にコロコロしてて可愛い。

 

テント場で休憩&ヤマメシタイム

テントへと帰還。

登山ボリュームは少なかったはずだけど妙に疲れていた。宝剣岳での慣れないスリルに精神をすり減らしたのだろう。木曽駒ヶ岳は朝に登るとして今日はのんびりしよう。

頂上山荘でキンッキンに冷えてやがるビールを購入。

この日は売っていなかったけど、生ビールやハイボールやワインまでも取り扱っていた。(実はビールよりハイボール派だったので残念だ)

 

クレープ的なやつも購入。凍っているので少し溶けてから食べます。

急に疲れが出てきたところにビールを飲んだので一気に眠たくなってきた。1時間くらい昼寝しようとテントで横になると、あら不思議、目を開けると2時間が経過していた。

 

日没ギリギリに夕飯の準備に入る。

周辺のテントハイカーはもう食器の片付けを初めているような時間帯だ。

 

ヤマメシと言っても大したものは作らない。インスタント食品をアレンジする程度。無理に凝ったものを作るよりも早くて簡単なやつでいい。

登山で全部を楽しもうと思うとすべてが中途半端になってしまうことに気がついた。今日は写真を楽しむ日、今日はヤマメシを楽しむ日、今日はたくさん歩く日などメリハリを付けて計画を立てるといい。なので今日は「テント泊しながら写真を楽しむ日」だったのでインスタント食品が主体。

適当な言い訳です。

 

それっぽいヤマメシを作っている風だけど作っているのはただのカレーメシなんです。奥のクッカーは相方のやつ。玉ねぎをまるまる1個持ってきて切り出したり、なかなか凝ったものを作っている。

今回の道具類はシェラカップとメスティンのみ。

ジェットボイルは置いてきた。ハッキリ言ってこの闘いにはついていけない…

 

完成。

カレーメシに炒めた大豆ひき肉を入れてキーマカレー風にしようとしたけど想像したような感じにはならなかったやつ。オマケに魚肉ソーセージを混入させた。もはや腹が膨れればなんでもいい。

相方はハイクオリティなポトフを完成させた。ウィンナーではなくピリ辛チョリソーが入っている。量が多かったところに〆のチーズリゾットで苦しんだ。うぷぷ。

食器を片付ける頃には真っ暗。

山では明るいうちに行動しなくては…

 

最後にテントシューズの紹介。よく見るワークマンのスリッポンだけど買ってから1年してやっと使うことができたやつです。かかとを踏んでサンダル風に履いたり、ちゃんとシューズとして履いたり、評判通り使い勝手が良いです。

というわけで長々とお付き合いいただきありがとうございます。ここで折返しです。【後編】では天の川撮影、朝の撮影タイムなどの写真の話が多くなります。