こんにちは、アキです。
新年早々に北八ヶ岳は天狗岳へと雪山登山してきました。
いつもの二人登山です。
昨シーズンに北横岳・黒斑山と初級コースで雪山デビューしていますが、今シーズンはステップアップ第一弾として天狗岳をチョイス。ネットで「雪山 2年目」とかで検索したら出てくる記事を参考にして安易に選びました。
今回の年末年始は寒波到来中の影響により多くの山域では爆風予報だったことが記憶に新しい。予定の1月5日の天狗岳では強風予報ではあるけど、登山指数BからAへと好転していく予報だったので登山は決行となりました。
ちなみに登山翌日の静岡市街地では十数年ぶりとなる雪が降り、凍結による道路封鎖などが見られたほどの大寒波だった。雪山の翌日なので感動は皆無でしたが。
天狗岳の登山記録(2022.1.5)
東天狗岳(渋の湯) / あきさんの東天狗岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ
東天狗岳(標高2,646m)と西天狗岳(標高2,645.8m)の東西二峰からなる天狗岳は北八ヶ岳最高峰です。雪山登山として初級レベルということもあり通年で人気のある山です。
北横岳などの初級コースの次にステップアップするのに丁度良さそうです。もちろん強風や降雪時など悪天候時は初級レベルじゃなくなるので注意。
天狗岳といえば黒百合ヒュッテも有名。
標高2,400mにある山小屋は山頂アタック前の拠点として重宝しました。黒百合ヒュッテ名物の料理も食べてきたので順を追って紹介します。
そして天狗岳を登る際の登山口は大きく分けて2つ。
「唐沢鉱泉 八ヶ岳秘湯の宿」のある唐沢鉱泉登山口であれば、東西二峰をぐるっと周回できるコースを歩けます。YAMAPで探しても唐沢鉱泉は人気のあるコースだと分かる。
しかし我々は「渋御殿湯 – 奥蓼科温泉郷」のある渋の湯登山口を利用。
僕の車はスタッドレス装備の2WD普通車。寒波到来中で登山口までのアクセス状況に不安があり、双方を比べて安全に辿り着けそうな渋の湯登山口を選んだという経緯。
渋の湯登山口駐車場について
まずは「渋御殿湯 – 奥蓼科温泉郷」にナビをセットすれば渋の湯登山口に辿り着けます。この温泉施設が登山者向けの有料駐車場(1日1,000円)を管理しています。
茅野市公式HPでは6時30分〜対応可能時刻まで利用可能とされています。(もっと早く出発したい場合は唐沢鉱泉がおすすめ。)
後半は車体の腹を擦りながらの走行箇所もあったけど難なく到着。ノーマルタイヤでは無理です。僕らの後から除雪車も融雪剤を撒いて走行していたので、整備されていてアクセスはしやすいと言えるでしょう。
唐沢鉱泉だったら車高がシビアになりそうですね。
そしてこの有料駐車場の利用方法には要注意。
僕が見たネット情報により「6時から」だと勘違いして訪れてしまい門前払いを食らった。
そう、渋の湯登山口の『名物女将』の洗礼でした。
登山記録の下調べ段階で名物女将の存在は知っていた。対応方法にも気をつけようと思っていたのに早々に失敗した(笑)
6時頃に到着すると「こんなに早く来ても開いてないよ。」と言い、女将は駐車場の雪かきへと歩いていきました。別の従業員に確認してみると駐車場の利用は7時からだという。
僕が見たネット情報では6時から。
茅野市公式HPでは6時30分から。
実際には7時から。
駐車場の雪かきをする必要があるので、積雪状況によって開始時刻が前後するのかもしれませんね。
これにより6時に到着するも7時までは雪道で少し待機することになった。駐車後すぐに出発できるように、このタイミングに装備の準備を済ませておくといいですね。
基本的にはロープで閉鎖され、利用者が来たときに開場するシステム。
駐車場利用の正規の手順はきっちり守りましょう。
- 積雪状況によっては開始時刻が6時30分とは限らない。
- まずは駐車場をスルーして温泉施設入り口まで乗り付ける。
- 受付で料金を支払う。
- 女将が駐車場まで走るので車でついて行く。
- ロープを外してくれるので指示に従い駐車する。
タイミング良く他に利用者がいてロープが開いていても、駐車場はスルーして受付を先に済ませないといけない。受付前に先に同行者を降ろそうと駐車場前に少し停車しただけで女将がすっ飛んでくるという記事も見かけたほど。
名物女将がマジでゲームのNPCなんですよ。
この正規手順でしか駐車場は利用できないみたい。利用者が多いときは何度も往復して走らせることになるけど、それを悪いと思わずに手順通りに利用するべきらしい。
女将さんご苦労さまです。
駐車場には綺麗なトイレも完備。
ありがたや。
渋の湯登山口をスタート
駐車場から少し進めば登山口(登山届ポスト)が設置。
その先の橋を渡って登山道が始まります。予定よりも1時間オーバーの出発となったけど、気を取り直して雪山登山を楽しんでいきましょう。
7:50頃、渋の湯登山口を出発。
ちなみにこの周辺は温泉が湧いているのか硫黄臭が立ち込めている。
7時過ぎの樹林帯はまだ薄暗い。
YAMAP情報だと、黒百合ヒュッテまではチェーンスパイクで問題ない様子だったのでそれに従いました。トレースは踏み固められていて実際にチェーンスパイクで大丈夫でした。
出発直後の気温は−17度。
もともとなのか寒波の影響なのか不明だけど冷え込みます。
尾根に出てからの風速や気温が気がかりで、黒百合ヒュッテの先の中山峠まで行ってみて風速状況によっては山頂へは行かずに引き返すという計画。
微妙な樹林帯ではしゃぐ雪山初心者たち。
この先にもっと真っ白な景色が待っているのに、序盤の樹林帯で何度も足を止めてしまう。
樹林帯がだんだんと真っ白な世界へと変貌してゆく。
樹氷の森、たまらん。
たまに人型というかオバケっぽいのが居て面白い。
樹氷の森をしばらく進んでいると空が開けてきた。
雲ひとつない青空です。
まだ日が差し込む前の樹氷の森は、まるで静かな深海のようでもあります。
目の前には「青と白だけの世界」が広がる。
堪らない…。
これが八ヶ岳ブルーというやつか。
9:45頃、登山口から景色を堪能しながら歩いて2時間弱。
樹氷の森に魅了されながら歩いているとぽつんと佇む黒百合ヒュッテに到着。
雪景色に囲まれた山小屋はとてもおしゃれだ。
天狗岳の拠点地、黒百合ヒュッテ
標高2,400mにある黒百合ヒュッテは休憩拠点として丁度いい位置にあり、天狗岳頂上へ目指す前の装備変更や、食事休憩に利用するハイカーで賑わう山小屋です。
この日は平日ということもありガラガラでした。
我々もここで軽食休憩と装備の見直し。
チェーンスパイクから12本爪アイゼンに変更、ピッケルを装備、ハードシェルの下にインサレーションを1枚着込んだ。
相方の準備待ちの間にカメラを持って山小屋周辺をウロチョロ。
360度目に入る景色がすべて美しい。
積雪直後というわけでもないのに樹氷の着き方が綺麗なんですよね。
PLフィルターを使っているわけでもないのに深く済んだ青空、もはや宇宙。
八ヶ岳ブルーと呼ばれる所以が理解できる。
天狗岳周辺のスノーモンスター的なやつら。
どこかの山で大群を見てみたいですね。
10:40頃、準備が整ったので天狗岳頂上へ向けて出発しましょう。
1時間近くも休憩していたようだ。
雪山初心者のうちは準備時間がかかり過ぎたり、雪景色に見惚れて足を止める時間も多いのでコースタイムをオーバーすることを想定して計画を立てた方がいい。
天狗岳を目指して
再び樹氷の森へ突入。
トレースもバッチリで迷う要素は少ない。
中山峠を過ぎてだんだんと樹林帯を見下ろす標高へ上がってきましたが、この先にどんな景色が待っているのでしょうか。
樹林帯を抜けると「天狗の奥庭」という開けた場所へ出て、目の前には天狗岳の東西二峰が立ち並んでいます。(尖っている左側が東天狗岳、丸っこい右側が西天狗岳です。)
この辺りでの風速状況で引き返すかどうかの判断をする計画でしたが、風はあるけど問題なく山頂を目指せるレベルだと判断して先へ進みます。
背の低い樹氷の森の中を歩くハイカーたち。
暖色系ウェアは山の中では目立つのでいいですね。僕はザック込みで全身黒っぽいので次に買い換えるときは明るいカラーにしようと思う。イエロー系が好みかな。
振り返ると樹氷の森が広がります。雪山初心者丸出しで何度も足を止めてしまうのでペースが遅く、後続ハイカーによく追い抜かれる。
冷たい風がしんどくなりサングラスから「mont-bell アルパインゴーグルPL」へと変更。
顔面の防寒になるし、曇らないし、偏光グラスで眩しくない。雪山におけるゴーグルの快適性に驚いた。もっと早く装備しておけばよかったな。
お気に入りで使用している「finetrack メリノスピンバラクラバ」と組み合わせるとダースベイダーになってしまうのが難点。しかし口元の通気口のおかげで呼吸しやすく、布が口に張り付かなくて快適なんですよこれ。
まるで白いサンゴ礁。
深く澄んだ青空と相まって海感が増します。
傾斜のキツそうな場所を登るハイカーたち。
遠くから見ると急登に見えるけど実際に歩いてみると…、やっぱり急登だったやつ。慣れないピッケルを杖にして意外とすんなりと歩けました。
風に舞う樹氷、逆光で輝く白いサンゴ礁が美しい。
振り返ると八ヶ岳最北端の蓼科山、手前に北横岳が見えました。
積雪期の蓼科山も歩いてみたいなぁ。
樹氷の森の中に佇む黒百合ヒュッテ。
山小屋は本当にありがたい存在です。
山頂が近くなると森林限界により木々は減ります。当日は基本的にトレースがしっかりしていて迷う要素は少ないけど、岩がゴツゴツした箇所でルートを見失うことはありました。
尾根の先に頂上らしき標識が見えてきましたね。
ゴールは近いです。
11:50頃、東天狗岳(標高2,646m)へ到着。
黒百合ヒュッテから約70分、登山口から4時間。
雪山を堪能しすぎてコースタイムはかなり遅い。
初級コースからステップアップした今回の雪山登山では、装備を見直したい箇所を見つけることができたかな。実際に使用してみないと合うかどうか分からない物もあります。
ちなみに東天狗岳頂上では気温−15℃でした。
風があるので体感ではもっと下回るかな。
そう言えば、これを書いているときにネットで「テムレス論争」なるものが話題になっていたけど、この時期の晴天時の天狗岳レベルではテムレスで平気でしたよ。
テムレスが悪いどうこうじゃなくて、インナーグローブとの組み合わせの問題じゃないかなと思います。基本的にグローブは複数を状況に応じて使い分けるものかと。
僕は5種のグローブを携行しています。
テムレスで大丈夫な状況ではテムレスでいいんじゃないかな。
東天狗岳から見た西天狗岳。
東→西へと歩いていくハイカーはそのまま唐沢鉱泉へと下山していくはず。なかなか良い周回コースなので、僕も唐沢鉱泉へアクセスできるのなら天狗岳は再訪したい。
渋の湯組としては西天狗岳をピストンするという考えもあったけど、1時間遅れスタートだったり、コースタイムをオーバーするペースだったこともあり今回は東天狗岳で引き返します。
望遠ズームで覗いて見ると、西天狗岳では我々を追い抜いていった二人組ハイカーが記念撮影していたところでした。はやいですね。
硫黄岳方面の景色。奥に見えているのは赤岳でしょうか。
さて、良い具合にお腹が空いてきたので黒百合ヒュッテまで引き返しましょう。
本日のメインイベントはこれから。
12:19頃、下山開始。
厳冬期の美しい北アルプスがくっきりと見えていますね。
真ん中あたりに槍ヶ岳。
同じ道を引き返しているだけなのに、また景色に目を奪われて足を止めてしまう。太陽の位置が高くなり、光の差し方で雰囲気も大きく変わってきます。
樹氷越しの西天狗岳。
美しい樹氷の森。
離れたところに綺麗なシュカブラも見える。
間近で撮影してみたいな。
13:00頃、黒百合ヒュッテへ帰還。
さてさて、お待ちかねのアレですよ。
黒百合ヒュッテ名物を食べよう
下山の前に黒百合ヒュッテで食事休憩にします。
先客の2人組ハイカーが入れ替わりで出ていったので客は我々のみ。感染対策バッチリで、ストーブ前の席をのびのびと使用できました。
ぬくぬくと暖まれる休憩拠点ありがたや。
こういう気温差でカメラを持ち込むと内部結露するので注意です。GRIIでやってしまった。
豊富なメニューに目が眩むも、人気メニューであるビーフシチューを注文。
サラダ付きでライスかパンを選べます。
牛肉たっぷりで生クリームのかかった本格的な濃厚ビーフシチュー、食器にもこだわりを感じる。こんなに標高の高い山小屋でこれほどのクオリティ。
これは納得の人気メニューだ。
このために天狗岳へ来たと行っても過言ではない。
デザートにはコケモモのカップケーキ(コーヒーセット)も注文。
コケモモソースが美味しい。
酸味の強い野性的な甘さだ。
ごちそうさまでした。
お土産に天狗岳のバッジも購入。
僕はカモシカの可愛いデザインのやつを選択。(ちなみに帰り道の車道でカモシカを見かけたけど、車に驚いてすぐに逃げていってしまった。ごめんよ。)
黒百合ヒュッテを出たらあとは同じ道を引き返すだけなので記録は割愛。
15:10頃、下山完了。
下山後の話
駐車場を利用した渋の湯に日帰り温泉はあるんだけど、なぜか登山を終えてから寒さを感じ始めたので、いったん雪のないところまで移動することにしました。
帰り道では鹿ちゃんが見送りをしてくれた。
また来るよー。
元旦登山の七面山といい、新年早々鹿ちゃんによく出会うな。
このあとは北杜市の道の駅 こぶちさわまで移動して延命の湯を利用。実は『ゆるキャン△SPECIAL EPISODE サウナとごはんと三輪バイク』に登場する聖地なんですよ。
天狗岳を雪山登山した感想
厳冬期の北八ヶ岳・天狗岳を無事に登頂。
そこそこの登山ボリューム、初ピッケルを手に持ちながらの歩行、状況に合わせての装備変更など、ちゃんと雪山ステップアップできたと思う。
しかし東西二峰を踏まないと正式な“天狗岳登頂”ではない気がするので再訪して周回コースを歩きたい。唐沢鉱泉まで安全にアクセスできるタイミングを狙うなら残雪期でもいいかな。
元旦登山の七面山とほぼ同等の気温状況での登山だったけど、装備不十分だった七面山の方が寒かったな。天狗岳では顔(とくに口元が息で濡れて凍る)の冷えが気になったくらい。
登山用ウェアの性能は凄い。
そして八ヶ岳ブルーと雪景色の組み合わせが最強すぎる。
写真撮りすぎて整理が追いつかないよ。
ビーフシチューもめっちゃ美味しいので、天狗岳へ訪れる際はぜひ黒百合ヒュッテへお立ち寄りください。八ヶ岳にある山小屋は魅力的な食べ物が多いイメージがあるな。
厳冬期の天狗岳をたくさん堪能できました。
使用した撮影機材