富士山でライターが点かない理由と高山で着火するコツ

こんにちは、アキです。

先日の富士登山にて山頂でお湯を沸かしてカップ麺を食べるという目標が失敗に終わりました。原因としてはガスストーブに点火するために用意していたライターが点かなかったためでした。

そのライターが壊れてたわけじゃないです。とある理由で点かなかったんです。

標高の高い山でのライターの点火事情をまとめます。

富士山の頂上でライターが点かなかった理由

標高が高く気圧が低いとライターは点かない?

標高が高く気圧の低い場所ではライターは点かなくなる場合があります。火がどうこうではなくて、ガスに着火させるための “点火装置” が気圧による影響を受けてしまうからです。

標高が高くなるに連れてまず最初に点かなくなるのが電子式ライターです。

ライターには大きく分けて電子式ライターフリント式ライターの2種類があります。

電子式ライターとフリント式ライターの違い

電子式ライターとは、内蔵された点火装置により「高電圧」を発生させてガスに着火するタイプのライターです。「カチッ」っと押すだけのタイプですね。

コンビニとかで簡単に買える使い捨てライターは電子式が主流かと思います。

この電子式の点火装置は気圧の変化により放電力が下がるので、標高が高くなるに連れて点火しにくくなります。

ターボライターも点火装置は同じ仕組みなので電子式に含まれます。ターボライターは風に強いなどメリットがあり登山に向いていそうに感じますが、火が点火しなければ意味のないこと。

フリント式ライターは、一昔前の100円ライターの定番だったのではないでしょうか。

点火の際はダイヤル状になったヤスリを「ジョリッ」と回しつつボタンを押すタイプです。あれは物理的に「火花」を発生させてガスに着火させてます。

この物理的に「火花」を起こすタイプだと気圧の変化には影響されにくいようで、標高の高い場所では電子式ライターよりも点火しやすいです。

高山(気圧の低い場所)で点火させる方法

富士山を始めとした標高の高い場所で点火するのに使える器具を紹介します。

そもそも山で火を使うと言えばガスバーナーです。お湯を沸かしたり料理したりしますよね。ガスストーブに付属した点火装置も電子式が主流であり、標高の高い場所で火が点かなくなることもあります。

ガスストーブに点火させるだけであれば「火花」さえ起こせればなんだっていいのです。火である必要はありません。

それを踏まえての紹介です。

フリント式ライター

ライターを使用したい場合はフリント式ライターを使うのがおすすめ。登山でライターを使用したいのなら必ず一本は用意したいところです。

何が良いってまず安い。非常に安い。数個セットが100円で買えてしまうのではないでしょうか。安く手に入りますが、最近はフリント式ライターは少なくなっています。

コンビニでは電子式しか置いていない場合もありました。フリント式は一昔前のタイプの使い捨てライターなんですね。タバコ吸わないから知りませんでした。

ZIPPO的なオイルライターに関してはフリント式ではあるものの、オイルが低温に弱いのであんまり登山には向いていないと思います。

ファイヤースターター(火打ち石)

ファイヤースターターで検索するとたくさん出てくると思います。マグネシウムの棒とストライカーと呼ばれるヘラがセットになった点火装置です。

簡単に言うと “現代版の火打ち石” です。マグネシウムの棒とヘラを擦り合わせて火花を発生させます。

登山で火を必要とする場合、ほぼガスストーブのためですよね。ガスストーブであれば点火するための「火花」を飛ばせれば十分なわけです。そこでファイヤースターターの出番になります。

物理的に火花を飛ばしてガスに点火することができます。ライターがダメだった時はこれが手っ取り早いです。

本来の使い方としては、マグネシウムの棒をヘラで削ってマグネシウムの粉末を集めます。(ティッシュの上にまとめると効率が良い。)集めたマグネシウムの粉末に向かって火花を飛ばすと引火してティッシュごと燃え始めるというものです。

アウトドアやサバイバルで活躍しますね。

2種類のファイヤースターターを買ってみました。

サバイバルマッチ

僕はサバイバルマッチも常備していますが、これは非常用として持ってる感じです。サバイバルシートみたいに緊急時用であって普段使いはしていないです。最終手段でしょうか。

特徴はマッチです。ケースに付いたヤスリ的な部分に擦ると発火するアレです。

どの辺がサバイバルかというとマッチ本体が濡れてしまっても発火するところ。そして12秒ほど燃え続ける。(製品によるけど)なので風雨に強くアウドドアな環境で活躍します。もちろんこれも気圧の低い場所でも使える。

普通のマッチだと少しでも風があると一瞬で消えますし、少しでも湿気っていれば発火すらしません。頼りないですね。サバイバルマッチはその弱点をすべてカバーしているというわけです。

登山用の着火器具

一番手っ取り早い。登山用の着火器具があればそれが一番いいはず。「登山用ライター」とググってみると出てきます。ウィンドミルというメーカーのライターが優秀らしい。

高山でも使える内燃式ライター。最強じゃないっすか。

と思ったら点火は電子式。放電出力が高いので使い捨ての電子式ライターよりはマシではあるはずです。

標高3000mまで使えるそうで、それ以上ではキツいらしい。標高3700m超えの富士山で使えないなら要らないかなって思いました。

炎温度が高いとか防風性能がどうとかよりもまずは点火装置ですよね。安いフリント式ライターで間に合うので自己満足レベルではないでしょうか。

追記:実際に標高の高い場所で使ってみた

追記(2017.8.6)です。富士山や南アルプスの標高の高い場所でライターを使ってみたので記録しておきます。

富士山の頂上(標高3,776m)付近

富士山の頂上でも高い場所と低い場所があるので、正確には標高3,776mではありませんが標高3,700m超えの場所には違いありません。

結論から言うと、

富士山の頂上でフリント式ライターで点火できました。富士山で使用可能なら国内どこの山でも使えるでしょう。富士山より高い山ないし。

ただ風や雨の強い場所での使用となると話は変わります。フリント式でもすぐに火が消えてしまうかと思います。その時はやはりアウトドアに強い点火装置が必要になります。ファイアースターターも用意してあると無難だと思います。

ウィンドミルのライターは結局は電子式で標高3,000mを超えると不安定だそうなので富士山では論外です。

南アルプス(標高3,000m)

南アルプス・北岳にある標高3,000mぴったしの山小屋に宿泊した際に検証しました。

結論から言うと電子式ライターは使えなくなり、フリント式ライターやファイヤースターターを使用すれば問題なくガスストーブに点火できました。

ちょうど隣でも「カチッカチッ、あれ点かない」と電子式ライターで困っているハイカーがいたので、フリント式ライターを貸しました。

「古いライターなら点くのかー」と感心していた。

まとめ:火花が重要

電子式の点火装置は標高の高い場所では非常に弱いです。

標高3,000m超える場所でカップ麺を食べたい時は、使い捨てのフリント式ライターとファイアースターターを用意することをおすすめします。

ちなみに僕は湯沸かし専用の時はジェットボイルを使用します。湯沸かしでは最強だと思います。