この記事は【後編】です。
こんにちは、アキです。
引き続き「燕岳」での1泊登山の記録です。
前編では登山記録やコース詳細をメインに紹介しましたが、後編では写真撮影についての記録をメインに綴ります。日没後の天の川撮影、明朝には御来光を待ちながら夜明けの景色を撮影しました。
↓前編はこちら。
北アルプス「燕岳」の登山記録
合戦沢の頭・大下りノ頭・燕岳 / あきさんの燕岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ
- 北アルプス三大急登を登れ
- 表銀座縦走コースを散策
- 岩アートを探せ
- 燕山荘でチーズケーキ
- 霧虹とブロッケン現象
- 燕岳頂上へ行こう ←ココから
ついに北アルプスの女王へ
燕岳〜大天井岳の中間地点までの「表銀座縦走コース」を散策をした後は、小休憩を挟んで「燕岳」の頂上へと向かいます。日没後の星景撮影のロケハンも兼ねています。
燕山荘から燕岳頂上までは約1kmほどの距離で、標準タイムは30分程度の位置関係にあるので、山小屋からは手ぶらで往復できるような距離です。それでも何があるかわからないので、アタックザックに最低限の装備は携行していました。
スタートして5分ほどでしょうか。あっという間に目的の場所へ到着。
燕岳名物のイルカ岩です。
ちゃんとイルカにしか見えませんね。水面から顔を出してボール(太陽)をツンっと弾いてるような光景とても可愛い岩だ。これは映えますね。インスタではイルカの鼻先をナデナデしている微笑ましい写真を見かけます。
日没後はこのイルカ岩と星を撮影しようという計画ですが、燕山荘から近い位置だったので一瞬でロケハンが終わった。
ロケハンが終わればのんびりと頂上を目指します。
とくに危険な箇所はなく、歩きやすいコースです。
山頂直下は階段状に整備されていて歩きやすい。
もう少しで頂上という岩場でルートを見失いましたが、とりあえず進めば頂上に着くような雰囲気。
本当ならメガネ岩があるはずなんだけど、どうにも見つけられませんでした。途中で分岐コースがあったので間違えたのかもしれないな。
15時頃、燕岳(2,763m)へ到着。
三角点の他には大きな看板等はなく、字の掘られたこぢんまりとした石があるだけで少し寂しい。看板は紛失してしまったのだろうか。登山道や分岐にはちゃんと木の看板が立っているんだから、頂上にもそれくらいあると思うけどな。
メガネ岩すら見逃してしまったので、頂上看板もどこかにあったのだろう。
燕岳頂上へ立つと北側には北燕岳が臨めます。
行こうかどうか悩んだけど、気分的に今回はやめておきました。散策とかロケハンをして目的を果たしてしまって気が緩んでしまいました。山小屋に戻ってのんびりしたい。
歩いてきた方面を振り返ると燕山荘が見えた。
こうやって遠目に全貌を見ていると山小屋には見えない。旅館というかちょっとしたペンションのような佇まいだ。実際に快適なのは事実だし、燕岳の人気な理由が充分にわかりました。
槍ヶ岳もずっと見えています。
燕山荘へ戻る途中に再びイルカちゃんに会ったので「また夜に来るよ」と挨拶。
見る角度によっては口を開いている。
快適過ぎる燕山荘
寝床へ帰還したら本日はもう夕食まではのんびりと過ごします。
寝床は布団4枚分のスペースを2人で半分ずつ使いますが、真ん中をロールカーテンで仕切れるので半個室のような状態です。収容人数を制限していて、本来なら2人で使うスペースを一人で使えるので充分な広さで快適でした。
感染対策としてシュラフカバー等を持参し、布団に直に触れるのを避けるルールでした。わざわざシュラフカバーを購入するのが勿体なかったので、普通にマイシュラフを持参して布団は使いませんでした。
使用後は各自持ち帰るということで使い捨て枕カバーも用意されていたのでありがたい。
僕の寝床の枕元にあった小窓からは絶景が見える。すべての部屋に小窓があったのかどうかは不明ですが、ごろごろと寝転がりながら絶景を眺めていられるのは高評価だ。
御来光だって寝転がりながら見られますよ。雲海で隠れていたけど富士山も見える方角だったので、外に出なくても富士山撮影をすることも可能。
燕山荘には1回100円で充電設備も完備しているのがありがたいですね。登山にはモバイルバッテリーくらい携行するべきだとは思いますが、縦走したりと長い山行をするのであれば貴重な充電環境だ。
この後は17時くらいだったか食堂で夕食を済ませました。
オーナーさんが不在だったので燕山荘名物のホルン演奏やトークなどはありませんでしたが、食後には録画映像の鑑賞会みたいなものをしていた。
この日、夕食に出てきた豚汁が衝撃的な美味しさでした。
僕の知っていたソレとは全然味が違う。とても濃厚だ。例えるなら味噌ラーメンのスープを飲んでいるかのような錯覚に陥る程の濃厚な豚汁。たしか食事前に「本日の料理担当は○○県からはるばる…」みたいな話をしていたので、長野県ではないどこかの県の特有の味付けだったのだろう。
ちゃんと聞いておけばよかったな。
今回の燕岳登山において1番印象に残っていたのが豚汁だった。
イルカ岩と天の川の撮影
夕食時にはすでに外は真っ暗で、天の川撮影の準備をするために早めに食堂を後にして、そそくさとイルカ岩まで足を運びます。
天の川自体は一晩中ずっと空に見えるけど、イルカ岩と一緒に撮影するための位置関係として日没後〜19時くらいまでの間が理想的な撮影時刻でした。
さっそく天の川の撮影を開始。
焦点距離17mmでライトを当ててみるとこんな撮影条件。槍ヶ岳の見える方角、イルカちゃんの口から天の川が放出されているような演出。予定通りの構図。
イルカちゃんはシルエットだけでも良かったですが、今回はヘッデンを使用したライトアップを試みました。光を当てる場所、当てる時間が難しくて何枚も試行錯誤しました。
だいぶイメージに近い演出で撮影できた1枚。(ライトアップの試行錯誤でタイムロスをしてしまい、天の川の角度が立ち過ぎてしまったので100点ではない。)
ライトを当てる時間がシビアで、シャッタスピード15秒に対してライトは2秒も当てれば明るすぎるような状況で、何枚も試行錯誤しているうちにだんだんと慣れてきました。
ケンコー・トキナーの「ハーフプロソフトンA」を使用してイルカちゃんをシャープに描写させつつ、星空にはふんわりとソフト効果をかけています。ライトアップも慣れてくると顔付近だけをふわっと照らせるようになっていた。
キラッキラの星をぱくぱくと食べるイルカちゃん。
イルカちゃんが可愛すぎて撮影しながら一人でテンション上がってましたよ。槍ヶ岳が背ビレっぽく見えるところがお気に入りポイントです。
焦点距離35mmくらいに寄っても悪くないので、超広角レンズこそが正義というわけでもないのだろうな。星景撮影についてはよく知らないけど。撒き餌レンズの「AF-S NIKKOR 50mm F1.8G」とか星景レンズに案外いいのかもしれないな。
今はとりあえずZ6II用に14-30mm F4と、20mm F1.8が欲しいな。
この後は、19時も過ぎてしまうと天の川の角度がもう理想ではなくなったので撤収しました。
朝活、御来光を求めて…
山小屋の中でダウンハガー#1のシュラフは暑いくらいでこのシュラフはオーバースペックなんだけど、寒くて凍えてしまうよりは嬉しい悩みなんだよな。
4時40分頃撮影の夜景には雲海も確認できる。
御来光は6時過ぎでしたが、早めに目が覚めたのでカメラを持ってヘリポート展望台へと向かいます。10月中旬の北アルプスとなるとすでに静岡の真冬よりも寒い。これはマジで。
空に上っていた月を撮影。
撮影してみて気がついたけど、月の欠けている暗い部分が地球からの光の反射で薄っすらと見える「地球照」という現象を撮影できた。ネットでは見たことがあったけど、あんまり夜空の撮影はしないので自分で撮影したのは実は初です。
せっかく100-400mm望遠ズームレンズを持ってきたので活用したいところだったけど、地味に風が強いのでトラベル三脚での400mm撮影はブレをどうにもできなかった。燕山荘は尾根にあるので風通しが良いのです。
夜が明けてきたところで、シルエットくらい見えていてもいいはずなのに、ここまで富士山を確認できていない。嫌な予感しかしません。
遠くの雲の朝焼けを確認できます。
5時30分頃撮影。
富士山が見えるであろう方角を撮影しているのに、いまだ富士山を確認できない。雲海越しの富士山を期待していたけど、これは雲が高くて駄目なパターンだ。
しかし上の1枚を拡大トリミングしてみると富士山の頭がちょこっと見えている。
おまえそこにいたのかー。
これを最後に彼女の姿を見たものはいなかった。
気持ちを切り替えて燕岳方面を撮影。
昨日のロケハン時は霧で見えなかったが、燕岳や燕山荘と一緒にテント場が見えます。時期的に数が少ないので写真としては映えない。次回はテント泊で訪れたいですね。
燕山荘の食堂がすでに明るいが、朝食の支度をしているのだろう。御来光の前には朝食だそうですが、僕はずっと展望台にいたかったので朝食は弁当にしておいたので、撮影を終えてからのんびりと食べる予定。(弁当への変更はチェクイン時にしておいた。)
6時頃撮影、大雲海が広がる。
この時間になると朝食を終えた宿泊客がぞろぞろと外へ出てくる。山小屋の入り口付近に集まる人、僕と同じようにヘリポート展望台まで足を運ぶ人など様々。
明るくなると足元が凍っていたことに気がつく。
真冬の静岡よりすでに寒いよ。静岡でこういう白いの見ないもん。
マジで。
日の出が近くなると、空は強烈にオレンジに染まる。
雲海も焼けている。
御来光きたー。
御来光あったかい。
眼の前が強烈な朝日に染まる景色。
燕岳の頂上付近を覆っていた雲まで朝焼けしているではないか。しかし頂上で待機していた方々は御来光を見ることができたのだろうか。
朝焼けの余韻により黄金に照らされる燕岳。
まさにリオレイア希少種。(まだ言ってる)
すでに頂上へと向かうハイカーもいますね。僕はこれから荷物を片付けてから朝食にします。
向こう側に見える山脈の日の当たり方が面白かった。
モルゲンロート的な感じではない。
紹介が遅れましたが、燕山荘のマスコット?的な人面岩です。
こいつは自然が作った岩アートではなく人工的に掘られた岩ですね。
あっという間の下山
6時30分頃、撮影を終えた僕が山小屋へと戻る頃には他のハイカー達がぞろぞろと出発をしていくところで、僕はかなりのんびりとしていたが下山するだけなので問題はない。
売店でお弁当(というか包み)を貰って、喫茶サンルームでコーヒーを飲みながら食べることにします。他にものんびりと過ごしている先客がいました。考えることは一緒ですね。
暖かい日差しでぬくぬくしながら飲むコーヒーは格別だ。
ちなみに包みの中身は「ちまきセット」で、餅米だったらしくモチモチで美味しかった。ちまきって食べたことなかったかもしれない。
ちまきを食べ終わり、7時20分頃下山スタートします。
北アルプス三大急登…。
急登というのは下山があっという間だろう。登りで3時間10分だったコースを下山するだけなら2時間を切れるかもしれない。さすが北アルプス入門コース、お手軽だなぁ。
下山スタートして5分もしないうちに暑くてソフトシェルを脱ぎました。
燕山荘は尾根にあるため風によって体感温度が低いが、ちょっと下山すると無風となってしまい暑いのだ。半袖でも平気なくらいの気温でした。
今回は小屋泊だったけど、100-400mm望遠レンズやマイシュラフを持参したのでテント泊用の65Lザックでした。
落葉で秋色に飾られた足元が綺麗でした。
サクサクと足が進み、黄葉がピークの標高まで降りてきました。
9時をまわる頃には登山口へ到着。
駐車場へ着く辺りでちょうど下山タイム2時間というところ。僕の足でもタイムを意識して突き詰めれば2時間は切れそうな余裕はありました。
本当にあっという間ですね。
下山後の有明荘でひとっ風呂
下山後は「有明荘」でお風呂に入りたいところだけど、お風呂のオープンは10時からなので少し待つことになりました。急いで下山しても良いことはないので、安全第一でゆっくり下山することをおすすめします。
有明荘に駐車場があるのかどうか調べていなかったので、安曇野市営第1駐車場から歩いてきました。近いので5分くらいですけどね。そして十分な広さの駐車場を完備していましたので安心してください。
ちなみに有明荘も燕山荘グループなので、残り1枚の「地域共通クーポン」を使用してお風呂へ入ります。
10時オープンのお風呂は9時55分くらいには入ることができたし、中にはすでに先客もいました。何時から入れたのだろう。
風呂上がりには食事でもしようかと思ったけど、食堂は11時からだったので諦めてコーラを飲みながら駐車場まで歩きました。ここで待つよりも帰り道で食べることにした。
今回の北アルプス登山ではライチョウを見かけることなかったので、有明荘に居たライチョウを一羽連れ帰ることにしました。地域共通クーポンだけだと悪い気がしたのでお土産の購入。
帰り道では諏訪湖SAで「信州味噌の豚汁そば大盛り」を食べました。
僕はずっと燕山荘で食べた濃厚豚汁を引きずっていたので迷わず選んでしまったが、この豚汁は僕のよく知るノーマルな豚汁だった。この時はてっきり「信州味噌の豚汁」が例の濃厚豚汁だと思っていました。
あの濃厚豚汁また食べたいなぁ。
燕山荘へ行けばまた食べられるのかな。
そもそもアレが豚汁だったのかどうかも不明なんだけど。
燕岳登山を終えて思ったこと
涸沢に続いて燕岳でも北アルプスに魅了されてしまいました。
来年は槍ヶ岳に立つという目標もできたし、北アルプスからの富士山撮影も積極的に狙ってみたいと思う。というか燕岳はリベンジしなくてはならないな。
登山前は「北アルプス三大急登」に少しビビっていたけど、登ってみると大したことはないし、むしろ整備の行き届いた歩きやすい登山道だった。その登りやすさが「北アルプス入門コース」と言われている所以だろう。三大急登というのは少々盛られている。
例えるなら、ちょうど塔ノ岳のある大倉尾根(バカ尾根)のようなボリュームかな。丹沢山までピストンできるなら燕岳も全然行けると思う。(積雪期は難易度が上がるので注意です。)
燕山荘がとにかく快適過ぎて山小屋のイメージがガラッと変わってしまいました。
北アルプス楽しい。
また春以降に登りに行こうと思います。