こんにちは、アキです。
涸沢登山ですっかり北アルプスに魅了されてしまい、続けて「燕岳」を1泊2日の山小屋泊登山をしてきました。
燕岳の10月中旬というと平年では初冠雪となる時期ですが、登山予定日の天気予報を見る限りでもちょうど無雪期ラストチャンスとなるタイミングに滑り込めました。まだ北アルプス初心者なので冠雪前に登りたかったのです。
今回の【前半】では登山記録を中心に綴ります。
北アルプス「燕岳」の登山記録
合戦沢の頭・大下りノ頭・燕岳 / あきさんの燕岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ
燕岳(標高2,763m)は常念山脈の北部に位置する山で「北アルプスの女王」と呼ばれていたり、燕岳を目指すルートの合戦尾根は「北アルプス三大急登」の一角として知られています。そんな悪名とは裏腹に、北アルプス入門コースとして老若男女から人気を誇るという。
三大急登の女王なのに入門コースなのです。
まるで意味がわかりませんが、自分の足で登ってみれば答えが出るだろう。
今回は「燕山荘」での1泊2日の山小屋泊になりますが、燕山荘グループが2020年10月よりGoToトラベルキャンペーンの利用対象になったということでさっそく利用しました。
- 北アルプス表銀座 燕岳(つばくろだけ)の山小屋 燕山荘グループ
- GoToトラベルキャンペーンについて
登山口のアクセスと駐車場
合戦尾根コースの登山口近辺まではマイカーでのアクセスが可能で、無料の安曇野市営駐車場を利用できます。登山口から近い順に第1〜第3までありますが、繁忙期や週末などは満車になりやすいそうなので注意。路上駐車であふれることもあるようなので、早朝に到着できない場合はバス・タクシーでの移動も選択肢に入れておいた方がいいかもしれませんね。
他にも温泉施設や山荘の駐車場もあるのでチェックしてみてください。
駐車場の確保はお早めに
今回の登山は平日だが、やはり駐車場問題に不安があったので「夜のうちに駐車場を確保しておき、朝まで車内で仮眠をとる」というプランにした。さすがに初見の北アルプスでのナイトハイクは自重しておきました。
噂の「三大急登」が未知なのでビビっています。
深夜1時頃に安曇野市営 第1駐車場へ到着したときはガラガラでしたが、朝6時も過ぎるとほとんど満車となりました。平日の早朝でこれなので燕岳の人気のほどが伺える。駐車場の確保がシビアになる登山ですね。
到着後は寝るまであれこれしたり、早めに起きてご飯食べたり準備をして、仮眠時間はなんやかんや3時間ほどでした。まったく寝ないよりは100倍マシだ。
6時40分頃、駐車場を出発。
ますは登山口までの舗装路を歩き進めます。
この時点ですでに木の上にたくさんのニホンザルを見かけたけど、中央アルプス木曽駒ヶ岳でのニホンザルの群れに遭遇したやつが地味にトラウマなので、この時ビビっていました。
第1駐車場から5分も歩くと登山口へ到着。
ここで登山計画書の記入と提出ができる。すでに何組かのパーティが並んでいましたが、僕は仮眠前にYAMAPで作成しておいた計画書を出発と同時に提出していました。ネット提出はスマートでおすすめ。
中房温泉(日帰り湯)が燕岳登山口になります。
下山後にそっこうで汗を流せますね。
北アルプス三大急登の一角
北アルプス三大急登へと足を踏み入れる。
標準コースタイムを見る限りでは、合戦尾根は4時間20分ほどで標高差約1,260mを登るコースだけど、標高差だけを見たら塔ノ岳(大倉尾根)クラスという印象である。急登ということは標高を一気に稼げるので、下手したら塔ノ岳よりも速いかもしれないと考察していた。
登り始めるや否や辺りはガスに包まれるが、こういうときに必ず思うのは「頂上に着いたら雲の上じゃね」という期待。天気悪いなとガッカリするよりは、今は雲海の中を歩いていると思えばモチベーションが上がる。
北アルプス三大急登…。
たしかにスタート直後からひたすら上りが続くけど、三大急登と思うと拍子抜けのような。
今回の行動食は、柿ピー・ミックスナッツ・m&mチョコをミックスしたもの。このカリカリコーティング系のチョコは熱で溶けにくいから行動食にいいらしいので導入してみました。m&mは香りがちょっと苦手かも。
容器はいつものナルゲンボトルじゃなくて、ダイソーの100円ボトルとケース。
柿ピーが丸見えのボトルをザックにぶら下げてると「こいつどんだけ柿ピーが好きなんだよ」と思われてしまうので、ケースで隠したかったのです。(涸沢登山でバス待ちで並んでいるときにふと思った。)
謎の骨組みがある。
チラホラと綺麗な紅葉も見かけます。
ほらね、大雲海が見えてきた。ドヤァ
落葉により足元から秋らしさを飾る。
誰が置いたか登山道は無駄にハロウィン仕様でした。
お、合戦小屋まで5分の看板。
名物の絵も描かれているではないか。
合戦小屋の名物について
「合戦小屋」なんて物々しい名前だなと思って由来的なものをググってみたけど、やはり物々しい合戦の歴史があるようでした。
9時頃、合戦小屋へ到着。
この地点で駐車場から2時間強はかかっているので、塔ノ岳よりもボリュームがありますね。急登が思っていたほどの急登じゃないし、むしろ比較的整備の行き届いた登りやすい登山道です。
そして合戦小屋の名物といえばスイカ。
先程の看板にもスイカの絵が描かれていましたね。
YouTubeやブログを見ていると皆ここでスイカを食べている。僕もここで小休憩にしたけど小屋は利用していないので、季節的にこの日はスイカを扱っていたのかどうかは不明。
合戦小屋を過ぎたら空が開けてきて、森林限界が近いことがわかる地形になる。ちなみに合戦小屋は標高2,350mだそうです。
再びガスってくるも高い木がなくなり、高山感が増してテンションが上がってくる。景色は見えないけどね。
燕山荘まで1.3kmという看板。
これまでの登りが緩やかになりました。もう少しで尾根に出そうな雰囲気だ。
ついに燕山荘を視認できました。
もうひと頑張りだ。
登りながら右手に目をやると大雲海。
快適過ぎる燕山荘へ到着
9時50分頃、燕山荘へ到着。
駐車場からのコースタイムは3時間10分程で、急いだわけではないけど標準タイムを1時間ほど巻くことはできた。しかし、ここはまだ山小屋なので燕岳の頂上まではもう少し歩く必要があるので注意。
標高2713mにある燕山荘。
その佇まいからは豪華な雰囲気を醸し出しており、その辺の山小屋とはオーラが違う。燕山荘へ入ってまず驚いたのが、普通に電気式のレジを使っているし、予約情報もPC的なもので管理していたのでチェックインがスムーズだったこと。
すげえ。ここ山小屋だよね?
今回はGoToトラベルキャンペーンを利用しているので、けっこう割安な料金で宿泊ができました。浮いたお金はお土産を購入したり、小屋内での飲食費に回そうと思います。
燕山荘と向き合うように北アルプスの女王が鎮座する。
まだ今日は散策したいところがあるので頂上はもう少し後で行く予定です。山小屋から燕岳までは30分ほどで行けるらしいので、行こうと思えばいつでも行ける感じが良き。翌朝の下山前に立ち寄ってもいいし。
山頂に立つハイカーが見える。
燕岳は岩アートが楽しめる山だと聞かされていたが、すでに特徴的な岩の連なる山域なのは理解できた。その中には見た目から「◯◯岩」とネーミングされるような岩もあるので散策するのが楽しみです。
なんかゲームでこういうステージあるよね。
クリスタルの結晶がギザギザ飛び出しているような感じのやつ。
少し早い昼食にやってきたのは「喫茶サンルーム」です。
ここの窓から見える雲海が綺麗だったので窓際の席で昼食をとることにした。外のテーブルも気持ちが良さそうだ。それにしても立派すぎてもはや山小屋感がない。
しかし昼食営業は10時45分からだったので、少しフラフラして時間を潰しました。
ちなみに燕岳からは富士山が見えます。
北アルプスからの富士山撮影を満喫するために100-400mmの望遠ズームレンズを持ってきたが、果たして翌朝の撮影でこのレンズの出番はあるのかどうか。
テント装備がないのでレンズを多めに担げるのが山小屋泊のメリットですね。
食堂で注文したカツカレーが出てきました。
いい具合にお腹が空いていたので一瞬でペロリですよ。後から気がついたけどプラス100円で大盛りにもできたようです。こんな標高のある山の上で贅沢な食事をできることに感謝です。
山小屋ありがたや。
食後は外で燕岳を眺めていたけど、手ぶらで頂上へ向かうハイカーが多かった。小屋は綺麗で充実していて、燕岳までは目と鼻の先ときたもんだ。快適すぎるでしょう。
燕山荘のすぐ西側にはさっそく名前を持つ特徴的な岩がありました。
そう、ゴリラ岩です。
お腹の膨れたゴリラがちゃんと居るようにみえる、これが自然の作り出した岩アートですよ。
反対側から見たらもっとゴリラだったのがツボだ。
目と鼻まであるやんけ。
ゴリラ岩を拝んだところで「表銀座縦走コース」を少しお散歩してみようと思います。
大天井岳を経由して、常念岳や槍ヶ岳へと続く縦走コースです。
表銀座縦走コースをちょこっと散策
燕岳に登ることを相方へ伝えると「縦走をしなくても、時間の許す限り行けるところまで表銀座縦走コースを歩いて欲しい。すごく綺麗だから。」と勧められていました。
1泊して燕岳だけだと確かにボリュームが少ないので、ちょこっと散策するのもいいなと思い縦走コースを歩くことにした。
しばらくは槍ヶ岳を眺めながら歩き続けます。
あそこまで続いてるんだなー。
尾根の西側では少し見下ろす標高にある木々の黄葉がピークのようで綺麗だった。
秋の燕岳を満喫しています。
尾根越しに見える槍ヶ岳を眺めていたら決心がつきました。
来年はあの槍の先っぽに立つぞ。
縦走コースにも岩アートがごろごろしていて、一つ一つが何かに見えそうで見えない絶妙な形状をしている。風向きの関係で木々が揃って傾いているのは見かけることはあるが、岩が風に流されるような形を成しているのが不思議でしょうがない。ぐにゃっとしてるでしょ。
尾根の東側は相変わらず大雲海となっているが、黄葉と相まってこれはこれで絶景。
しかし雲海のせいで富士山は見えない。
大きめな岩が増えてきたり、岩の間を通ったりします。
セーブポイント的な空間に到着したら○○岩スポットです。
ここで現れたのは蛙岩。
「かえるいわ」ではなく「げえろいわ」と読むのが正解のようです。カエルと言われれば見えなくもないけど、ゴジラっぽい気もするし、シルエットやメカメカしい重厚感がどこかFF11のアレキサンダーを彷彿させる。蛙にしておくには勿体ないカッコいい岩だ。
蛙岩からしばらく歩くと「大下りの頭」というセーブポイントに到着。(もはやゲーム脳)
ここは燕岳〜大天井岳のちょうど中間地点になります。燕岳からは1時間ほどの距離でしたが、今回はのんびりと散策していたので足を止めなければタイムはもっと巻くことが可能。
大下りの頭からは大天井岳の頂上まで見渡せる尾根を一望できます。
この中間地点までゆっくり歩いて1時間なので、大天井岳までも1時間くらいかと言われればそういうわけでもない。しばらく下ってからの登り返しで時間がかかりそうだ。
今回のお散歩はここまでにしておきます。
大天井岳まで行くのはいいとしても、燕山荘まで再び戻ることを思うと時間がキツキツになりそうだし、アタックザックには水や食料が最小限しかない。
今日は快適な燕山荘でのんびりする日である。
メインイベントはケーキを食べること!
さっさと帰ろう。
望遠レンズで覗いてみると山小屋が確認できるが、あそこにテント場もあるそうなので来年は大天井岳で一泊してみよう。
ちなみに大天井ヒュッテも燕山荘グループです。
黄葉を眺めながら足速に燕山荘を目指す。
すでに口がケーキを求めている。
雲の上に浮かぶ燕山荘が見えてきた。
ケーキは4種くらいあったと思うけど、どれにしようか迷うし、コーヒー、紅茶、ミルクを選べべるケーキセットなんですよ。贅沢だなぁ。
霧虹とブロッケン現象との遭遇
13時30分頃、燕山荘へと帰還。
まだ14時前だと!?
これはのんびりできるぞ。
尾根の東側にだけ雲が沸いている状態。
そこそこ風はある。
燕山荘は尾根にあるので風がもろに当たることになるのでテント泊は注意が必要。実は一度はテント泊も検討していたけど、当日は少し強風気味の予報だったので小屋泊にしました。
安全第一です。
棘棘しくもある岩峯群をまとい、白いベールをなびかせる姿は女王の風格。
脳内イメージではまさにリオレイア。
あの岩つついたらバサルモスも出てきそう。
これが燕岳の魅力か。
とか考えているとテント場を覆う虹の出現。
この霧ならブロッケン現象を期待できそうだとは思ったけど、虹が見られるとはラッキーだ。これは霧によって光が乱反射して発生する虹なので「霧虹」だそうです。白っぽい虹なので「白虹」とも呼ばれています。
美しすぎる女王。
そしてケーキタイム。
大好きなチーズケーキ的なやつとブラックコーヒーのセットにしました。
ティーカップとかお皿がお洒落だし、すぐに使い捨てるのにレースペーパーまで敷いてあります。山小屋でこのレベルのカフェを満喫できるとは思わなんだ。
拘りが凄い。
これはリピートしたくなります。
ちなみにGoToトラベルにより差し引かれた宿泊費の一部は「地域共通クーポン」として受け取ります。これは燕山荘グループの山小屋ならどこでも利用できるものなので、さっそくケーキセットの支払いに使用した。
(お釣りは出ないので注意)
ケーキを食べたら展望台へとロケハンにやってきましたが、相変わらずガスと霧虹が出ていて景色の確認ができない。
翌朝はここで富士山方面を撮影する予定だ。
この展望台はヘリポートも兼ねています。
展望台から北側は燕山荘、テント場、燕岳を一望できる。
霧虹のおまけ付きです。
霧虹の中心にはブロッケン現象により、まるで仏様のような神々しさすら感じる自分の影がいます。神秘的だ。
良い現象を拝むことができました。
こんなにのんびり過ごしていてもまだ14時頃なので、この後は燕岳の頂上へと行く予定。夜には天の川の撮影を計画していたのでそのロケハンをします。
ここで【前半】を終わります。
【後編】では撮影ネタを中心に綴りますよ。