こんにちは、アキです。
北アルプス裏銀座縦走2日目の記録です。
前回裏銀座縦走4泊5日①・野口五郎小屋を目指して日本三大急登のブナ立尾根を登る
北アルプス裏銀座縦走の記録②
裏銀座縦走・雲ノ平・高天原(高瀬ダム〜新穂高温泉) / あきさんの前烏帽子岳(富山県)・双六岳・鷲羽岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ
前回(1日目)は、高瀬ダムから入山して野口五郎小屋までの山行でした。野口五郎小屋で朝を迎えて、2泊目の宿となる高天原温泉を目指します。“日本一遠い温泉”とも呼ばれ、通常は2泊3日、健脚な方でも1泊2日の登山をしないとアクセスができない温泉です。
登山では2泊くらいまでなら汗拭きシートと着替えシャツで乗り切れるけど、真夏の4泊5日はさすがにキツい。温泉で汗を流せるのは非常にありがたい。
温泉を目指した裏銀座縦走2日目の記録です。
2日目の朝
まず野口五郎小屋で2日目の朝を迎えます。
深夜0時頃に起きて星空撮影をしていますが、それを差し引いても7時間は寝ることができました。4泊5日の縦走登山はまだまだ序盤なので体力の回復は怠ってはいけない。
睡眠は大事。
4:30頃、小屋の前で撮影タイム。
富士山の見える方角を撮影しているけどほぼ見えませんでした。
かろうじて富士山の稜線が見えるんだけど分かるかな?奥の方に連なっている稜線は表銀座で、大天井岳や常念岳の隣に富士山も見えているはずでした。
4:50頃、野口五郎小屋からの御来光。
ちょっと雲に覆われていたけど御来光は視認できた。
手前の山は唐沢岳(標高2,632m)だと思われます。一瞬、行ったことのある奥穂高岳の隣にある涸沢岳と勘違いした。漢字違いだ。
朝陽に照らされる野口五郎岳のピーク近辺。
このあと登ります。
御来光を拝んだら山小屋へ戻って朝食タイム。
早出するつもりだったので朝は弁当(おにぎり)で予約していたけど、結局ダラダラしてしまい山小屋での食事になったという。
お弁当組でも温かい味噌汁とお茶を頂けました。
野口五郎岳を通過して水晶岳を目指す
2泊目の宿である高天原山荘を目指しますが、その途中に水晶岳を踏んでいきます。百名山なのでスルーはできません。
野口五郎岳を目指して登る途中、振り返ると野口五郎小屋。近いので山小屋からあっという間に到着します。
山頂らしき場所が見えてきたと同時に、奥には槍ヶ岳が現れました。ここから最高の景色が続く稜線歩きができるんだと胸が高まります。
6:15頃、野口五郎岳(標高2,924m)へ到着。
山小屋から20分程度なのでまったく疲れません。
ちなみに野口五郎岳のネーミングの由来は、山が属している長野県大町市の集落「野口」で、大きな岩が転がっている様子を「ゴーロ」を表しているそうです。歌手の野口五郎さんの芸名はこの山が由来だとか。
野口五郎岳に立つと見える槍ヶ岳が裏銀座の最終ピークとして君臨している。ここから本当の裏銀座縦走が始まるんだという気分です。
雲ひとつない快晴で「最高」の一言しか出ない。
野口五郎岳から水晶岳方面へと続く稜線もため息の出る美しさ。2日目は出発して早々に、撮影ばっかりしてなかなか先へ進みません。
しかも人が少なくて静かで驚いた。ハイシーズン真っ只で、山小屋の予約がいっぱいなのに稜線へ出たら人の気配がない。静かに自然を堪能できるのが裏銀座の良いところらしい。
槍ヶ岳と花畑とライチョウと
気持ちのいい稜線歩きがスタート。
まずは水晶岳の手前にある水晶小屋を目指します。
しかし綺麗なお花畑と槍ヶ岳の絶景に足が止まる。
この黄色のお花の名はなんだろう。(調べないやつ)
お花を玉ボケにすると綺麗。
他ハイカーが全然通らないので、ゆっくりと撮影できます。お花と槍ヶ岳を撮影していたらあっという間に10分程経過していた。本当に足が進まない。
ようやく歩き始めるも、登山道でライチョウに行く手を阻まれます。
どこからか雛鳥の声も聞こえ、どうやら家族も近くのハイマツの中にも紛れ込んでいるようだ。ここは登山道なのでライチョウの家族団らんを人間が邪魔してしまうことになる。
我々の気配から逃げたと思われる雛鳥が親鳥からはぐれていた。
ごめんよ。
槍ヶ岳とライチョウ。
雛鳥を探しているようですが、人間が近くにいるせいで家族が集まることができない様子。私も少し撮影に熱中しすぎたのが失敗だった。さっさと通り抜けて先へ行くべきだったと反省しています。
しかし美しい生き物です。
こんな高山に生息しているのが不思議です。
雛鳥も見つけました。お母さんと合流できたかな。
驚かせてごめんね。
去り際に振り返ると、また別の個体が。かわいい。
今回のライチョウの遭遇で学びました。次はライチョウを見つけても速やかにその場を去ろうと思います。ライチョウを撮影したいなら超望遠ズームレンズを担いできます。
その後も稜線を歩き続けることおよそ1時間半。
少し登り返した先に、水晶小屋が見えてきました。
水晶小屋で食事休憩にしたいところだけど、体力が持たなそうなので軽くエネルギー補給をしてからのラストスパートにします。パンがパンパンです。
写真左側に水晶小屋、右奥に水晶岳。
ここで位置関係の話です。
裏銀座縦走としては水晶岳はコースから外れています。(1日目の烏帽子岳と同じように)水晶小屋へ荷物をデポして水晶岳をピストンをして水晶小屋へ戻ります。
体力に自信がなかったり、時間がなくて先を急ぐ場合は水晶岳はスルーしても裏銀座縦走は可能ということです。
もちろん百名山なのでスルーしません。
水晶小屋を目前にして振り返ると、歩いてきた稜線が美しいこと。これをずっと歩いてきたんだと息を呑みます。野口五郎岳まで続く稜線、写真からは見切れてるけど烏帽子岳も見えていました。
歩いてきた稜線を眺めるのが気持ち良すぎる。
8:50頃、水晶小屋へ到着。
水晶岳ピストンの前に食事休憩にしましょう。
ずっと眺めていても飽きない稜線を眺めながらのシーフードヌードルは格別。
荷物をデポして水晶岳ピストン
水晶岳までは標準タイムで往復70分だけど、荷物をデポして身軽な状態ならタイムは巻けるかと思います。
9:00頃、水晶小屋を出発。
ピストンして戻ってくるハイカーの中には、野口五郎小屋でご一緒したハイカーと遭遇して何やら有益な情報を教えてくれた。水晶岳は実は「南峰・北峰の双峰」で、位置として奥側となる北峰まで行かないと三角点がないという。
9:30頃、百名山の水晶岳(標高2,896m)北峰へ到着。
南峰への分岐をスルーして北峰へ直行した。
確かに北峰に三角点があります。せっかくの百名山はちゃんと三角点をタッチしたいところだけど、予備知識がなかったら南峰で引き返していたかもしれない。
教えてくれたハイカーさんに感謝です。
引き返して南峰にも立ち寄りました。
こちらには三角点はなく古めの標識のみ。
目的地である高天原山荘が見えました。標高約2,100mの黒部源流沿いにあるため、水晶岳(標高2,896m)からは随分と標高を下げることになります。
降りるのはいいけど、裏銀座縦走を再開するためにこの標高まで戻ってこないといけません。でも温泉は入りたい。遠回りしても高天原温泉へ寄り道するだけの価値があります。
というか本日中にあそこへ行くと思うと、まだまだ遠く感じる。
さらには“日本最後の秘境”こと雲ノ平も見渡せました。秘境感のある丘の上に3日目の宿泊地である雲ノ平山荘がポツンと佇んでいる。すでに素敵だ。
ちなみに水晶岳をそのまま通過して稜線を進むと、先には赤牛岳(標高2,864m)へと続いています。途中にある分岐(温泉沢ノ頭)から高天原温泉方面へも行けるようですが、なるべく安全ルートを歩きたいのでいったん水晶小屋へ戻り、裏銀座縦走コースを歩いて岩苔乗越という分岐を目指します。
そもそも水晶小屋に荷物をデポしているので引き返すしかない。
高天原山荘を目指して
水晶小屋で荷物を回収したら、高天原山荘を目指します。
10:40頃、水晶小屋から縦走を再開。
ここもまた美しい稜線でため息が出る。稜線の先にはワリモ岳、鷲羽岳を並んでいるのが見える。(この時はどれがどの山なのか分かっていないけど、歩いた後だと見える山がどの山なのか分かるようになって楽しい。)
11:00頃、ワリモ乗越という分岐へ到着。
さて、ここで裏銀座縦走は中断して、贅沢に2泊使った寄り道になります。日本一遠い温泉、日本最後の秘境、ワクワクが止まらない。
ワリモ乗越から祖父岳方面へ進みます。
11:10頃、岩苔乗越へ到着。
岩苔小谷という沢沿いコースで高天原山荘を目指します。
岩苔乗越→高天原山荘(2泊目)→高天原峠→雲の平山荘(3泊目)→祖父岳→岩苔乗越という周回コースで、2日後に再びここへ戻ってきます。
長い寄り道です。
沢沿いコースは非常に岩がゴロゴロしていて歩きづらい。そもそもこの地点でけっこうな疲労感があったので、今回の4泊5日の中で一番シンドかったのが岩苔小谷コースだと言っても過言ではない。
景色の見えない木々の生い茂る樹林帯をひたすら歩き続けること約1時間半、水晶池というスポットに到着。体力的に早く山小屋で休みたかったけど、気分転換に寄り道をすることにした。おそらく二度と来ないであろう場所なのでせっかくだからと。
分岐看板から片道10分なので少し悩んだけどね。
12:50頃、水晶池へ到着。
ここは地すべりで黒部川支流の岩苔小谷がせき止められて形成された堰止湖(せき止め湖)だそうです。(wiki参照)
堰止湖ということで思っていたよりも小汚い池だった。分岐からそこそこのアップダウンがあって体力を消耗するので、景色がイマイチだった時は少し後悔した。
とくに魚などは生息していないそうです。
雨予報ではないけど雲が増えてきたので先を急ぎます。
木道が現れて高天原が近づいてきたような気配がします。湿原のようなエリアにかかる木道が映えますね。まるで尾瀬のようです。(行ったことないけど)
尾瀬っぽい気がする。(行ったことないけど)
13:50頃、高天原山荘へ到着。
岩苔乗越から2時間40分も河原沿いのコースを歩き続けたのは、今回の裏銀座縦走の中で一番キツかった思い出となりました。ほとんど下りだったのに辛かったのは何故だろうか。
チェックイン後、バテバテなので真っ先にコークを一気飲み。
稜線よりも標高が低くて物資の調達がしやすいのか、ドリンクやアルコール類が豊富でした。リポDまであります。
日本一遠い温泉こと、高天原温泉
高天原に来る目的は温泉に入ることです。
夕食前にひと汗流して来ましょう。
ちなみに高天原山荘から温泉までは1km程度の距離を歩きます。せっかく汗を流しても歩いて戻るときに再び汗をかいてしまうのだとか。なので気温の下がる夕方や、朝風呂を狙うといいらしい。
でもサッパリしたいので明るい時間帯に向かいます。
温泉までの道のりは普通に登山道。
向かう際はゆるい下り道なので、帰りは登り返すことになります。温泉でさっぱりした後なのに汗かいちゃいますね。
温泉に到着。
先行パーティとタイミングが重なって賑わっていました。露天風呂は全3つあり、奥(右)が女性用、奥(左)が男性用、沢の手前には何も囲いのない露天風呂があります。
タイミング悪く混み合ってしまったので入り口で少し待機して、先客が出て行ってから入りました。一応、囲いの中に脱衣スペースもあるので安心。女性風呂の方は男性用よりも厳重に囲われている様子。
外の露天風呂には囲いが何もなく丸見えなので、水着を着用して入る人が多いようです。硫黄泉の湯が白く濁っているので、湯に浸かっていれば裸でも見えません。
縦走登山中に温泉に入れるのは最高。
お風呂上がりは夕食までのんびりしましょう。
2日目の宿、高天原山荘
水不足だった裏銀座コースの山小屋とは違い、黒部源流の沢沿いということだけあって高天原山荘は水に恵まれています。
飲用可能な水がバシャバシャと垂れ流しになっていて、シャツを洗濯したりと使い放題。乾燥室も完備しているので、ここで体もウェアもリフレッシュすることができた。
17:00より、お待ちかねの夕食です。
ご飯や味噌汁はおかわり自由。シンプルだけどおかずの種類が多いと満足感があります。個人的には天ぷらとミニそばが好きです。
食後に外で休憩することになったが、妻が何やら持ち出してきた。
まさかのブランデーケーキを箱のまま持ってきていた。これをザックに入れていたらしい。おかげで贅沢なデザートを楽しめたよ。
日没後の水晶岳が雲から現れた。
昼頃にあそこから高天原山荘を眺めていたんだ。
翌朝(3日目)は歩く距離は少ないので気が楽だ。温泉でリフレッシュできたのでたくさん寝ておきましょう。4泊5日の旅はまだ前半、体力温存を心がけます。
翌朝5:00、朝食です。
朝もシンプルですが、ご飯と味噌汁はおかわり自由。おかわりできるのであれば2杯は食べています。炭水化物は貴重なエネルギーです。
「日本一遠い温泉」の次は「日本最後の秘境」こと雲ノ平を目指します。まだ裏銀座縦走には戻らずに寄り道を楽しんでいきます。
- 水晶岳(百名山)は北峰まで行かないと三角点がないので注意。
- 野口五郎岳から水晶小屋までの稜線が最高。
- 岩苔小谷コース(岩苔乗越から高天原山荘まで)が下りなのに妙に辛かった。
今回の「北アルプス裏銀座縦走2023」の4泊5日の日程表です。
山行記録 | 主な山名 | 利用した山小屋 |
---|---|---|
1日目の記録 | 烏帽子岳 | 烏帽子小屋(休憩) 野口五郎小屋(宿泊) |
2日目の記録 | 野口五郎岳 百名山水晶岳 | 水晶小屋(休憩) 高天原山荘(宿泊) |
3日目の記録 | 祖母岳 | 雲ノ平山荘(宿泊) |
4日目の記録 | 祖父岳 百名山鷲羽岳 三俣蓮華岳 双六岳 | 三俣山荘(休憩) 双六小屋(休憩) 鏡平山荘(宿泊) |
5日目の記録 | ※下山のみ | 中崎山荘 奥飛騨の湯 |
山行記録 | 主な山名 | 山小屋 |
---|---|---|
1日目の記録 | 烏帽子岳 | 野口五郎小屋 |
2日目の記録 | 野口五郎岳 百水晶岳 | 高天原山荘 |
3日目の記録 | 祖母岳 | 雲ノ平山荘 |
4日目の記録 | 祖父岳 百鷲羽岳 三俣蓮華岳 双六岳 | 鏡平山荘 |
5日目の記録 | ※下山のみ | 奥飛騨の湯 (中崎山荘) |