裏銀座縦走4泊5日④・鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳を経由して鏡平山荘まで長距離縦走

こんにちは、アキです。

北アルプス裏銀座縦走4日目の記録です。

前回裏銀座縦走4泊5日③・念願の雲ノ平、日本最後の秘境で体力温存を図る

北アルプス裏銀座縦走④

裏銀座縦走・雲ノ平・高天原(高瀬ダム〜新穂高温泉) / あきさんの前烏帽子岳(富山県)双六岳鷲羽岳の活動データ | YAMAP / ヤマップ

2日目(高天原温泉)、3日目(雲ノ平)と長い寄り道をしたけど、4日目にしてやっと裏銀座縦走コースへと復帰します。

4日目は雲ノ平から祖父岳を超えて裏銀座へ合流。鷲羽岳→三俣蓮華岳→双六岳とピークハント予定で、巻き道を通らずにちゃんと踏破します。しかも双六小屋をスルーして鏡平山荘を目指すという、4泊5日の旅でもっとも長距離を歩く日です。

祖父岳を目指して早朝出発

4:10頃、雲ノ平山荘を出発。

長距離を歩く予定なので3時には起床して早立ち準備。体力温存していたので疲労感もなく幸先の良いスタートを切れました。本来ならそろそろ筋肉痛とか来てもいい頃なのに足には疲労がまだない。

アドレナリンのせいでしょうか、不思議です。

雲ノ平スイス庭園

4:40頃、スイス庭園へ差し掛かる。

雲ノ平にはスイス庭園、アラスカ庭園、奥日本庭園など名前の付いた展望ポイントが点在している。中でもスイス庭園の展望はズバ抜けて格別でした。

アラスカ庭園にガッカリした思い出が蘇り、夫婦揃って「アラスカ庭園とはなんだったのか…」とネタにする始末。

雲ノ平スイス庭園

赤牛岳方面の雲が見事に焼けた。

朝焼けは4日目にして初めて拝みました。スイス庭園の展望、緑に囲まれた映える木道、先を急ぎたいのに足が進まない。雲ノ平は魅力的なところだ。

雲ノ平と薬師岳

祖父岳を目指して標高を上げていく途中、振り返ると薬師岳(2,926m)に朝陽が差し込み始めていた。

雲の平から祖父岳分岐

5:10頃、祖父岳分岐へ到着。

三俣山荘方面へと進めば、祖父岳・鷲羽岳をすっ飛ばして三俣山荘へとショートカットできる巻き道ですが、ピークハントしながら縦走したいので祖父岳を登ります。体調不良などの緊急事態であれば巻き道を利用したと思う。

祖父岳から薬師岳

こちらが黒部五郎岳(標高2,839m)方面です。また北アルプス遠征をすることがあれば、折立登山口からの薬師岳〜黒部五郎岳を周回したいです。

祖父岳山頂

5:40頃、祖父岳じいだけ(標高2,825m)へ到着。

祖父岳から再び槍ヶ岳を眺めることができ、異国感のあった雲ノ平から裏銀座へ帰ってきたんだと実感します。

ちなみに、祖父岳の頂上にケルン(石を積んだやつ)がチラホラと作られてたけど、このケルンの隙間にオコジョが住み着いているようで、観察していればオコジョに遭遇できたらしい。(後から知らされた情報)

裏銀座縦走の再開

岩苔乗越

6:20頃、岩苔乗越へ到着。

祖父岳から歩くこと40分、2日目に通過した分岐点へ帰ってきた。

長い寄り道をしていたんだなぁ。

さあ、ようやく裏銀座縦走の再開です。

ワリモ岳

岩苔乗越からワリモ乗越へと登り返して尾根に到着。次に目指すのは鷲羽岳だけど、まずは尾根の先に見えるマイナーピークのワリモ岳を通過します。

ワリモ岳付近から雲ノ平

裏銀座の尾根からでも雲ノ平山荘が見えました。

名残惜しいですね。

まだ7時前の低い日差しが、登山者の影を尾根に映し出していた。なんとなく撮影した記録写真だけどお気に入りの1枚です。

振り返ると3日前に歩いた野口五郎岳〜水晶小屋の尾根が見えた。まだ裏銀座を縦走中なのに懐かしさを感じ、楽しかった思い出が蘇る。

そんなこんなでワリモ岳はとくに記録撮影もせず通過しちゃいました。

鷲羽岳(百名山)

鷲羽岳

7:30頃、百名山・鷲羽岳わしばだけ(標高2,924m)へ到着。

まっ先に鷲羽池を探して写真撮影。

事前リサーチ時に1番期待していた景色が、鷲羽池越しに見える槍ヶ岳でした。楽しみだったロケーションが晴天という好条件で眺められる。なんて幸せなことでしょう。4日目までずっと天候に恵まれています。

雲ノ平山荘の弁当

30分ほど景色を堪能したら腹ごしらえタイム。

雲ノ平山荘で受け取っていた朝食のお弁当です。出発前に軽く行動食は食べたけど、これが本当の朝食になる。

雲ノ平山荘の弁当

テンションの上がるラインナップ。

登山のお弁当にいなり寿司が入ってると嬉しい。スパムを使っていたり、色合いもオシャレです。雲ノ平山荘の従業員は年齢層が若い感じだったので、お弁当のセンスも若々しさを感じますね。

鷲羽岳から鷲羽池と槍ヶ岳

ずっと眺めていられる。

実はここから富士山が見えるのもリサーチ済みでしたが、さすがに雲が湧いていて見えません。秋とか空気の澄んでいる季節を狙うといいかもね。

鷲羽岳からの鷲羽池

こんな標高の高いところにある不思議な池。これは火口湖だそうです。池まで降りることも可能ですが、さすがにタイムロスなので寄りません。

すでに鷲羽岳に1時間以上も滞在しています。

三俣山荘を経由して三俣蓮華岳へ

鷲羽岳から三俣山荘

8:50頃、鷲羽岳を出発。

一気に下山をして三俣山荘を目指しますが、なるべく登り返す時のことは考えないようにしましょう。目の前の景色を楽しむこと。

ちなみに鷲羽岳からの下山道は、富士登山を彷彿させるガレ道だった。三俣山荘の宿泊者らしきハイカー達が身軽な装備で鷲羽岳を目指して登っていました。

三俣山荘でヘリコプター

9:10頃、三俣山荘へ到着。

同時にヘリコプターの着陸現場へ遭遇した。急いで飛び出してきた小屋番さんに山小屋の軒下へ案内され、言われるがままに避難。ヘリによる強風が危険らしい。

状況を眺めていたら、感染防護服を着た人たちがぞろぞろ現れて患者らしきハイカーが防護服を着てヘリコプターへ同行していった。なんとなく状況は理解できた。

ヘリコプターが去ると避難していたハイカー達がぞろぞろと行動を開始。

貴重な体験でした。

三俣山荘ではトイレ休憩とバッチ購入だけで早々に出発。

三俣蓮華岳を目指して登り返します。

三俣山荘と鷲羽岳

登っている途中、振り返ると三俣山荘越しに見えた鷲羽岳の存在感が強すぎる。あそこのテッペンから降りてきたのか。5日間という長旅なので1つの頂上を降りるだけならあっという間に感じる。

鷲羽岳

鷲羽岳のネーミングの由来がなんとなく分かる気がする。

鷲が翼を広げているような山容が特徴なのは分かるんだけど、何故かゾウが耳を広げているように見えてしまい、それからずっとゾウにしか見えなくなりました。

三俣峠と三俣蓮華岳

10:20頃、三俣峠を通過。

三俣蓮華岳まではガッツリ登り返しますが、双六小屋までショートカットできる巻き道もあります。時間や体力と相談できる気の利く山域です。

三俣蓮華岳

10:40頃、三俣蓮華岳みつまたれんげだけ(標高2,841m)へ到着。

ちょっと雲が増えてきましたね。実は4日目は天候が怪しいため鏡平山荘へは早めに到着したいのです。どんなに快晴でも午後になれば天気は崩れるのが夏山。なので登山では早出早着がセオリーです。

三俣蓮華岳

これまで歩いてきた山々を見渡せる。歩いてきた縦走コースを振り返るのが登山における楽しい瞬間のひとつ。

三俣蓮華岳から双六岳方面

さて、次は双六岳を目指します。

鷲羽岳に続いて楽しみにしていたロケーションのある山です。

ガスの中、双六岳を目指して

だんだんとガスに飲まれて楽しみな景色が危ぶまれるが、ダメ元でもいいから双六岳を目指します。巻き道を進む選択肢はない。

双六岳

12:00頃、双六岳すごろくだけ(標高2,860m)へ到着。

頂上では記録撮影だけして足早に目的のロケーションへ急ぐ。ガスに包まれて景色が見えないが、一瞬だけでもガスが晴れてくれたら目的の景色を拝めます。

双六岳

しかし期待は無常にも打ち砕かれる。

晴れていれば槍ヶ岳へと続く「天空の滑走路」と呼ばれるロケーションが広がっています。丸みのある丘によって「地球の丸み」を感じられるのだとか。

少しくらいなら晴れるチャンスを待ってもよかったけど、晴れるどころか雨がパラついてきたため泣く泣く先を急ぐことにした。これは双六岳のリベンジ登山が確定ですね。

次は双六小屋を目指します。

双六小屋

13:00頃、小雨に振られながら双六小屋へ到着。

雲ノ平を出発して9時間が経過している。

予約さえ取れていれば双六小屋に宿泊していたと思うが、北アルプスにおけるハイシーズンの山小屋では予約合戦を勝ち抜かなければ宿泊ができません。

私達は負けたのです。

なので双六小屋から2時間ほど先の鏡平山荘を目指しますが、先へ進むということは5日目の下山が楽になるとポジティブに考えればいいのです。

気持ちを切り替えましょう。

外部リンク:双六小屋 | 双六小屋グループ

雨に振られるも鏡平山荘へ到着

お昼ごはんは雲ノ平山荘で仕入れておいたお弁当です。

朝食用弁当とは別に弁当を注文できます。

中身はミニカツ弁当。冷めてても美味しかったです。

小雨に降られながら急いでかき込みます。

双六小屋のテント場

13:50頃、双六山荘を出発。

テント場を通過して鏡平山荘を目指します。ザックカバーは装着したけどレインウェアは着ませんでした。撥水性のあるシェルを着ていれば大丈夫だろうと。

あとは下山するだけなので気も緩んでいる。

出発して早々に土砂降りとなりました。雷も鳴り響いていて、落雷の恐れだってあります。完全に山を舐めてる系ハイカーとなっていた。

弓折岳分岐

14:40頃、弓折乗越へ到着。

双六山荘から50分ほど歩いたところで雷雨はすっかり止んでいた。1時間程度の通り雨だったようです。ちゃんと予報はチェックしていて通り雨だと分かっていたので、レインウェア無しでゴリ押ししちゃったという話でした。

雲が晴れ、槍ヶ岳が姿を表すと目的地である鏡平山荘まで見えてきた。

雨上がり特有の神秘的な景色だ。

15:00頃、鏡平山荘へ到着。

裏銀座縦走ラストの宿泊地。

雲ノ平山荘を出発して11時間歩き続けたけど、目的のピークはちゃんと踏破し、怪我もなく無事にたどり着けました。1時間ほど雷雨に遭ったけど、ここまで快晴続きだったので気にならないレベルです。

最後の山小屋を満喫しよう。

外部リンク:鏡平山荘 | 双六小屋グループ

鏡平山荘のかき氷

チェックインと、着替えをしたらかき氷タイム。

濡れたウェア類は乾燥室で乾かします。縦走登山をしていて山小屋で最も恩恵を感じたのが「乾燥室」の存在かと思います。マジで神。

鏡平山荘の夕食

18:00から夕食タイム。

標高が下がると料理も豪勢になります。山小屋の設備も豪勢で、水洗トイレだったり洗面台があったりと充実しています。鏡平山荘は快適なのでおすすめ。

夕食が物足りなかったので食後の晩酌タイム。

1日目に熊に遭遇したり、2日目に温泉に入ったのが随分と過去の思い出に感じます。毎日が充実していて、楽しかった思い出が更新されすぎて記憶がバグってきた。

夫婦揃って「楽しかった旅が終わっちゃうね」と寂しく感じる夜でした。

最終日へ続きます。

5日目(最終日)の記録はこちら

4日目の感想
  • 裏銀座におけるベストロケーションは鷲羽岳、次いで双六岳だと思う。
  • 雲ノ平山荘のグルメは要チェック、お弁当も楽しませてもらいました。
  • 雨が降ったらレインウェアを着よう(当たり前)

今回の「北アルプス裏銀座縦走2023」の4泊5日の日程表です。

山行記録主な山名利用した山小屋
1日目の記録烏帽子岳烏帽子小屋(休憩)
野口五郎小屋(宿泊)
2日目の記録野口五郎岳
百名山水晶岳
水晶小屋(休憩)
高天原山荘(宿泊)
3日目の記録祖母岳雲ノ平山荘(宿泊)
4日目の記録祖父岳
百名山鷲羽岳
三俣蓮華岳
双六岳
三俣山荘(休憩)
双六小屋(休憩)
鏡平山荘(宿泊)
5日目の記録※下山のみ中崎山荘 奥飛騨の湯
山行記録主な山名山小屋
1日目の記録烏帽子岳野口五郎小屋
2日目の記録野口五郎岳
水晶岳
高天原山荘
3日目の記録祖母岳雲ノ平山荘
4日目の記録祖父岳
鷲羽岳
三俣蓮華岳
双六岳
鏡平山荘
5日目の記録※下山のみ奥飛騨の湯
(中崎山荘)

使用した撮影機材