富士登山2014:雨の中を単独登山して低体温症に陥った話

こんにちは、アキです。

2014年の夏。僕が始めての富士登山に挑戦した時の記録です。富士登山どころか “登山” そのものが始めてでした。

初めての富士登山2014

① なぜか雨の中を登り始めた理由

僕の目的は山頂にて御来光を見ること。

なのでその時間さえ晴れていればいいんです。てことで登っている時は雨でも、夜中以降が晴れていて御来光が見れるだろうという日に登っただけです。

予定としては雨の中を8合目の山小屋まで登り宿泊する。夜中には晴れていて頂上まで登って御来光を見る。というよくあるプラン。

② スタートは富士宮口

静岡市民としては一番近いから「富士宮口」を選んだ。

一番登山者の多い「吉田口」のお祭り感も良かったけど遠いしやめた。

コースごとの特徴もいろいろで、頂上までが最短距離の富士宮、ほぼ下山専用の砂走りの御殿場。森の中も歩ける最長距離の須走、とにかく富士登山といえば人の集まる吉田って感じ。

富士宮ルートの場合は水ヶ塚公園で駐車して、バスに乗り5合目まで移動します。

③ 土砂降りのスタートと誤算

雨の5合目

今思うとよく登ったよ…あの時の行動力はなんだったんだ。

僕としてはしっかり予習済みで、5合目では気圧に順応するために1時間以上は滞在する予定でした。

しかし実際には、雨のため他の登山客はみんな建物の中。雨の中を下山してきてびしょ濡れでぐったりしている人などで食堂は満員。階段スペースも人だらけで落ち着ける場所が無かった。

「あ、居場所ねーな…。ここで歩き回ってても疲れるだけだし登っちゃうかぁ…」

僕は15分そこらで登り始めちゃいました。とりあえず、オニギリを2つ食べてからスタートです。

④ 8合目までの険しき道のり

雨の中、富士登山スタート

もうね…

なんの修行なんだと思いながら登っていたよ。

ただの雨じゃないの。この標高になると風が下から吹き上げて来るわけで、雨も下から吹き付けて来るんです。しかも雨量も多く、体感ではゲリラ豪雨の中を登っている気分だった。

まるでゲリラ豪雨

でも「ここまで来たら引き返せねえ!」と意地にもなっていました。今がんばれば夜には晴れる(はず)!

新品のゴアテックスのレインウェアもいきなり仕事ができて歓喜していた。

そして気づいた。

雨宿りする場所ないやんけ!

山小屋前の休憩スペース

雨宿りのためだけに山小屋に入るのは迷惑である。宿泊客や利用客以外は避けたいところだ。

雨に打たれながらベンチに座って休むことに。雨の中だと荷物も広げる気になれず、用意していた行動食はほぼ手を付けずにいました。

この辺りでプランの立て直し。

高山病対策に時間をかけてゆっくり登る予定だったけど、そんなことお構いなしでちゃっちゃと8合目の山小屋まで登ってしまい、ちゃっちゃと休息するというプランに変更することにした。

景色なんて見えない

とにかく「もう雨イヤだ!」という気持ちが。

体力の許す限りのペースで一気に山小屋まで登りました。ただ登るだけであれば8合目までは体力的に余裕があった。登るだけならね。

⑤ 山小屋での絶望

体力には余裕の残る中、宿泊予定の8合目「池田館」へ到着。

雨の中、8合目に到着

山小屋について荷物を整理する際に絶望した…

ザックの下の方が完全に浸水していて、タオル数枚からダウンジャケットまでびっしょりに…

僕は一瞬、「もう帰ろうかな…」と思った。

とりあえず無事だった替えのTシャツをタオル替わりに体を拭き、幸運にもフリースは無事だったので着用した。すでに寒かった。

この時点でまだ15時くらいだったな。

とりあえず濡れてて寒くなり布団に潜ります。ゴアテックスのレインウェアが優秀で身体が濡れていることは無いと思っていたけど、思いのほか濡れているのだ。

布団に潜っていても寒さで震えが止まらない…ダウンジャケットが死んだのはイタかった。

⑥「高山病」と「低体温症」の恐怖

今思い返すと、ここまで寒いのには理由があった。

まず身体が濡れていること。これは汗である。思い返すと、すでに軽度の「低体温症」だったと思う。

着ていたのが速乾性のあるポリエステル系のTシャツだったからまだマシだった。布団に潜っているうちに乾いていくから。

もしもこの時、綿素材のTシャツなんて着ていたら僕は重度の「低体温症」になっていた可能性もある。死ぬレベル。マジで。こわ。

そしてだんだん頭が痛くなってきました。当然ですよね。気圧順応も行動食も無視で一気に登って来ちゃった訳で、ある程度の覚悟はしていましたが低体温症と高山病のコンボは辛かった。

「しょんない、しょんない。」と言い聞かせ、僕はひたすら布団の中で震えていました。

途中に食事を挟んだ以外は、15時〜深夜2時までずっと布団の中。すごい長い時間に感じた。実際に11時間って長いのか。

消灯時間ギリギリに駆け込んでくる登山客もいるので、うるさくて寝付くことはできない。

中には、思い出ばなしで盛り上がるオバちゃん達。修学旅行か。寒いのかサバイバルシートをガシャガシャガシャガシャとずっと音を立て続けるおじさん達。

食後辺りからは身体が乾いているのが分かった。ポリエステルまじありがとう。ご飯を食べて体温も上昇したのか寒さによる震えが収まっていた。

あとは高山病だけ。ひたすら深呼吸していました。酸素缶あればなって後悔するも、時すでにおすし。

⑦ 夜中2時、山頂へ

夜中2時。御来光が目的の人が準備し始める時間です。

僕は頭痛の残る中起きたけど、「正直この時間に雨降ってたらもう降りるわ。」と決めていた。まじで精神的ダメージが大きかった。

しかし、山小屋の兄ちゃんが「晴れてますよ!」と笑顔で教えてくれた。

まじか!!!

荷物をまとめて外へ出ると空には星が広がってた。予報通り夜中には晴れていたのだ。僕は一瞬で高山病の存在が消えました(笑)少し行動食を食べてから頂上へ向けて出発。

出発の準備をする人々

夜中でも登山客も多くて安心感がある。

雨上がりで冷え切っていた。真冬だ。ここまでの寒さだとは思わなかった。僕はあまりの寒さに我慢できずに9合目の山小屋でラーメンを注文しちゃいました。

従業員のお姉さんがノリの良い人で、大学生グループのような男子がフランクフルト?のことを「肉棒ください」と注文する。

しばらくするとお姉さんの「肉棒でお待ちのお客さまー!」という声が響き渡るという。どこからか「肉棒言うな」とツッコミまで。

ぐったりしている人が多い中、活気があると元気をもらいますね。

山頂を目指す人々

再出発してもうひと頑張り。

頂上に着く頃には人の渋滞が発生。大晦日の神社みたいな雰囲気かな。強制的にゆっくりなペースになるけど、寝起きだしちょうどいいペースだった。

頂上を目前に気が付くと、すでに空が薄っすらと明るくなっていた。

明るくなり始める空

周囲を見渡すと下界の様子が見えました。

よく考えたら登山開始から今までずっと雨か夜中で風景なんてまったく見れていなかった。

富士山を登り始めてから初めて見渡した景色。

頂上付近から見た風景

富士登山で初めて見た景色が山頂からの眺めなんて。そう思ったらすごい感動してきた。涙腺が少しジワッとした。

⑧ そして待ち望んだ御来光

当時は「吊るし雲」なんて言葉も知らなかったけど、写真を見返したらデカい吊るし雲がもろに映っていた。たしか「インデペンデンスデイみたいやー」くらいに思ってたな。

目の前に浮かぶ吊し雲

僕の目の前に浮かぶデカい雲の塊を、すげーすげーと呟きながら眺めた。

あと寒い。

御来光を待つ時間がひたすら寒い。

御来光を待つ時間

ダウンジャケットがあれば…

雨対策はいかに重要かと思い知らされた。

シャッターを押す指も寒さでうまく動かせない。ホッカイロでも持ってくれば良かったな。

そして御来光。

感動の御来光

感動。

そして、あったけぇ。

お日様の有り難さが身に染みる。

僕のショボい撮影技術とコンデジの手持ち撮影だから画質は残念なことに。

雨上がりもあって近くの岩にはつららができるほどの寒さです。

真夏のつらら

雨上がりだから普段より冷え込んでいたのかな。寒いけど本当に感動の御来光でした。辛い思いをして登ってきた甲斐があった。

ただ気持ち的には早く下界に降りたいという気持ちがあり、お鉢巡りは断念して下山することにした。御来光を見て体力がピークに来たようだ。

帰りは御殿場ルートで宝永山の火口を歩く予定。

⑨ 感動しながの下山

火口とかは適当に撮影して早々に下山。また来るからな。

富士山の火口内

帰りも感動しっぱなし。

登る時に見ることのできなかった風景を満喫しながらの下山になりました。下界に広がる雲海がとても綺麗でした。

下山中の景色①
下山中の景色②

なんていうか岩だらけの御殿場ルート。どこかの惑星に紛れ込んでしまったような気分だったのを覚えています。

登る時には見られなかった景色。この景色を見ながらなら登る時も楽しいんだろうなぁ。

次は絶対に晴れの日に登る。

下山中の景色③
下山中の景色④

感動でカメラばかり構えて足が進まない。

登りと違うルートなのも新鮮である。

富士山すげぇ。

下山中の景色⑤

途中から御殿場ルート名物の「砂走り」が始まりました。

初めての砂走りを楽しみつつ宝永山への分岐を目指します。

⑩ 宝永山へと続く道

砂走りを駆け下りていくと、そのまま御殿場までは降りて行かずに「宝永山火口」への分岐があります。この分岐を宝永山へと進めば富士宮ルートに合流できるんです。

「宝永山火口」分岐

このルート楽しいからおすすめ。御殿場ルート名物の砂走りを楽しみつつ富士宮口へ帰れる。ただ砂走りを楽しみすぎて御殿場5合目まで行っちゃうことが無いように気をつけてください。

そして宝永山火口の中もどこかの惑星のようでした。

宝永山火口①
宝永山火口②

宝永山火口へと降りてしまうと火口から出るためにまた少し登りが始まります。最後の最後でけっこう体力的にしんどかった。あとは帰るだけだし最後の力を振り絞りました。

宝永山火口③

宝永山を抜けると少し歩き、富士宮6合目に合流。

あとは5合目まではあっという間でした。長いようであっという間だった初めての富士登山が終わりました。

まとめ:毎年登ろうと決意した

辛い思いはあったけど、いくらでも対策が効く。良い勉強になった。

そしてこれだけの感動を味わってしまい「これはもう毎年登りたい」と決意した。感動が上回った。

富士登山の経験がこの先の登山のきっかけにもなったし、よりいっそう富士山が大好きになりました。この初めての富士登山で完全に富士山に魅了されました。

ただ可能な限り雨の日は避けたいと心に誓った。